公約の「7つのゼロ」はほとんど達成されていない

私も東京都民だが、東京都から恩恵を受けたことはほとんどない。

彼女が初当選した時の公約を憶えているだろうか。「7つのゼロ」を掲げた。「待機児童ゼロ」「残業ゼロ」「満員電車ゼロ」「ペット殺処分ゼロ」「介護離職ゼロ」「都道電柱ゼロ」「多摩格差ゼロ」。

この中で達成できたのは「ペット殺処分ゼロ」だけだが、これも「獣医師の判断によって病気やけがなどを理由に処分したイヌ、ネコは除外されています」(しんぶん赤旗2020年6月28日付)。

私の家の前の道は狭くて救急車が何とか通れるぐらいで、消防車は入れない。道路には多くの電柱が立ち並んでいて昭和30年代そのままの姿だが、首都圏大地震が来たらと思うと夜も眠れない。

築地の女将さんたちを喜ばせた、豊洲移転を白紙にし、築地を残すという“約束手形”も、いつまでも結論を出さなかった。

結局、2年遅れで土壌汚染問題が完全に解決されたわけではないのに、十分な説明もないまま豊洲市場移転を決めてしまったのである。

挙句に、築地を5万人収容のエンタメ施設にするなどといい出し、裏切られたと築地の女将さんたちを激怒させた。

写真=iStock.com/pattilabelle
※写真はイメージです

異論に耳を傾けず、「小池劇場」に終始している

東京五輪開催についても、先の小島氏はこう書いている。

「国内スポンサーからの収入は三千七百六十一億円にのぼり、そのうちIOC・JOC・電通の取り分は総額一千七十七億円でした。それらは適正な金額だったのか。どこにいくら入ったのか。東京都は五輪組織委員会に監事を送り込んでいましたが、言を左右にして説明していません」

「異論を許さない強権的な体制」(小島氏)は、現在、世界的な問題にもなっている明治神宮外苑の再開発問題でも同様、何ら説明責任を果たしていない。

思い出されるのは、2017年に安倍晋三首相(当時)が臨時国会冒頭解散を打ったときである。

彼女は突然「政治をリセットする」と宣言し、新党「希望の党」を立ち上げるといい出したのである。

突如、打倒安倍政権を旗印にしたのだが、党勢が勢いをなくしていた民進党は、前原誠司代表が前のめりになり、希望の党に民進党が吸収される形で合意したのである。

安倍一強政治に飽いていた国民は、これで政権交代ができると歓迎し、大フィーバーが起きた。

メディアもこぞって希望の党を持ち上げ、安倍自民党も相当な危機感を持ったといわれる。

「小池劇場」最大の見せ場だった。

しかし、この勢いを止める小池氏本人の“本音”を引き出したのは、大メディアではなく都知事の定例会見に出ていたフリージャーナリストの横田一氏だった。