元側近が「学歴詐称工作に加担してしまった」と告白
公式なHPでの発信ではなくSNSでの発信。しかも日本語と英語だけで、アラビア語は載っていないというやや不思議なものだったが、事態を鎮静する効果は絶大だった。
結局、都知事選に自民党は対抗馬を立てず、366万票という票数を得て小池氏は圧勝したのである。
学歴詐称問題はこれで決着がついたと思われていた。
次の3選を達成した後は、都知事の座を捨てて衆院選に出馬し、自民党総裁選に名乗りを上げるのではないかとも囁かれていた。
初の女性都知事から初の女性総理へ。女帝から国王へと駆け上るのではないか。そのためには次の都知事選で再び圧勝する必要がある。
だが、小池氏の元側近で、都民ファーストの会の元事務総長だった小島敏郎氏が、文藝春秋5月号で「私は、学歴詐称工作に加担してしまった」と告白したのである。
小島氏は東大法学部を出て1973年に環境省に入庁。次官級ポストに就いたのちに退官。大学教授や弁護士としても活躍している。
2016年から都政に関わるようになり、築地市場移転問題を中心に政策を提案。小池氏が都知事就任後に特別顧問になり、都民ファが誕生してからは同党の政務調査会事務総長に就任した、小池氏の側近中の側近であった。
小島氏はその中で、次の都知事選に出馬するのなら、学歴詐称の公職選挙法違反で刑事告発するとまで語っているのだ。
内容を紹介しよう。
「卒業証明書を見せればいい」に小池氏は…
先に書いたように、前回の都知事選前に小池氏の学歴詐称疑惑が大きな問題になっていたが、駐日エジプト大使館がフェイスブックに載せた声明で一気に沈静化した。
小島氏はこう書いている。
「小池さんは懇意にしている自民党の二階俊博幹事長(当時)に、都議会自民党をなんとかして欲しいと頼んでいました。しかし、それでも追及は止まらず、(中略)都議会自民党の若手が、小池さんの対抗馬として都知事選に立候補する動きもありました。
学歴詐称の疑惑を払拭しなければ、小池さんは出馬宣言ができない状況でした。彼女にとって政治生命の危機だった。困り果てて六月六日に私を呼び出したのです。都知事選は七月五日に迫っていました。(中略)
私は率直に聞きました。
『卒業証書や卒業証明書を見せればいいんじゃないですか。それがあれば通常、それ以上の証明は求められません。それはあるんですよね?』
小池さんは言いました。
『あるわよ。でも、それで解決しないから困っているのよ』」
小島氏は小池氏に、「カイロ大学に証明してもらえばいい」と提案した。その後、小島氏は、小池氏が出馬宣言をした場合の想定問答集を作っていたそうだ。