「嘘をつく子ども」を育てる管理至上主義の弊害

教育熱心な家庭にありがちなのが「ノートはどこまで管理してくれるんですか」というような「管理したがる」姿勢です。当校では子どものノートを管理することはありません。子どもは管理しようとすると、嘘をつくようになるからです。

親がノートを管理する場合、学習の手段としてノートを取るのではなく、親が納得するノート作りが目的になってしまいます。やがて塾に行くふりをしてサボったり、机に向かいながら別のことを考えたりするようになります。そうなると成績も下降の一途をたどることは、火を見るよりも明らかです。

管理することを前提にノートをとらせても、元々本人に勉強する意志がないのですから、意味がありません。これはノートの件だけにとどまらず「子を管理しようとする」行為自体が、子どもの勉強する意志を削ぐ原因になります。

模試の成績を管理して、偏差値が何ポイントUPしたのかDOWNしたのかを管理する、帰宅時間、勉強時間、就寝時間を管理する、付き合う友達を管理する……管理、管理でがんじがらめにされると、子どもは何を言っても言うことを聞かなくなります。なぜなら今以上に自由が奪われるお小言を聞きたい人はないからです。

子どもは耳にフタをし、無表情になっていきます。これはひどいことを言われても何も聞こえないようにすることで、自分自身を守ろうとする自己防衛本能のあらわれです。厳格な管理や理不尽な罰は子どもの恐怖心を煽り、自分の本心や意見をひた隠しにするようになります。

子どもを勉強嫌いにする「5つのNG行動」

塾生限定の匿名相談には、「毎日怒鳴られて母の顔を見るのが怖い」「ひどい言葉を強い口調で繰り返し言われ、精神的に参っている」「大切にしていたものを勉強に支障が出るからと勝手に捨てられた」など親からの心理的虐待に苦しむ声が寄せられることもあります。

その中から、子どもの勉強嫌いを助長する、親の「5つのNG行動」と具体的な声がけ例をご紹介します(図表1)。

筆者作成