サラリーマン「魔の年代」

なぜ、40代後半から50代前半の年代は幸福度が最も低く、仕事へのモチベーションが急激に下がってしまうのか。

日本の場合、この年代はそれまで「高い収入やポジション」を追い求め続けてきた社内の出世競争もほぼ勝負がつき、50代半ばの設定が多い役職定年も身近に感じ始める。リアルで選択肢の少ない、会社での“未来の自分”の姿が頭をよぎる年代。

そうなると、先が見えている仕事に情熱を注ぐことは難しく、仕事に対するモチベーションは急速に下がっていく。

つまりは「自分の対する希望、可能性の減退」である。

しかし、頭ではわかっていても、家のローンもまだまだあるし、子供の教育費も掛かる。自身の身体も老いてくると同時に、親の介護が始まる人もいる。そんな状況の中、おいそれと転職するわけにもいかない。「しようがないな」と自分を納得させつつも、くすぶった気持ちが蓄積していく。

それが40代後半のサラリーマン、「魔の年代」の正体である。

50代での転職は想像以上に難しい

ただ会社の現実から逃れるように、新しい環境を求め、「早期退職」制度などを利用して転職を試みる人もいるかもしれない。その場合も、とても厳しい現実が待っている。

転職が一般的になってきたとはいえ、年代によって転職の難易度は大きな差がある。

厚生労働省の「令和2年 雇用動向調査」によれば、1年以内の転職者の割合を示す転職入職率は、男性の場合、20代後半12.4%、30代前半11.1%に対して、50代前半ではその半分にも満たない、わずか4.2%というシビアな数字がある。

安易な転職は注意が必要である。

本当の想いにふたをして、現状維持で過ごしても気持ちはくすぶる。思い切って転職をしようにも厳しい現実が待っている。いったいどうすれば、このモヤモヤした気持ちを打破できるのだろうか。