一般的な知名度が低い会社を理解する手がかりになる

ただし、決算説明会資料は、会社を知るひとつの手掛かりとしては有効です。

たとえば、よく知らない会社の事業内容。味の素のように、誰もが会社名を知っていて、どういう商品をつくり、販売しているのかがおおまかにわかっているような会社ならともかく、現在、東京証券取引所などに上場されている会社のなかには、社名を聞いただけでは何をメインの事業にしているのか、想像もつかないような会社もあります。特に、個人向けではない、対企業のビジネスを中心にしているBtoB企業であればなおさらです。

この手の会社の中身を知りたいというとき、恐らく決算短信と有価証券報告書だけでは、なかなかイメージできません。そういうとき、決算説明会資料に併せて目を通すと、その会社のおおまかな姿がイメージできるのです。

統合報告書には何が掲載されているのか

最近、「統合報告書」を作成している会社が増えています。これも決算説明会資料と同じように、作成が義務付けられているものではありません。あくまでも会社の任意です。したがって、監査法人のチェックは受けていませんし、フォーマットも各社独自のものになっています。

「統合報告書」という名称を初めて聞いた人は、恐らくこんなことを考えたのではありませんか。「何を統合したの?」と。

統合報告書とは、「有価証券報告書や決算短信に掲載されている財務情報に非財務情報を加えたもの」と考えていただければいいでしょう。

さらに言うと、有価証券報告書は基本的に過去の企業経営の成績を、貸借対照表と損益計算書、キャッシュ・フロー計算書という財務三表で表現したものであるのに対し、統合報告書は将来、会社の経営をどうしていくのかというような、将来に軸足を置いて説明している点が大きな違いです。

非財務情報とは、財務三表以外の会社情報のことです。といっても、これではなんのことかわからないと思いますので、いくつか代表的な非財務情報を挙げてみましょう。

・ビジネスモデル
・事業戦略
・CSR
・ガバナンス

以上が、代表的な非財務情報です。

ビジネスモデルと事業戦略の関係性は、事業戦略がビジネスモデルに組み込まれていると考えていただければいいでしょう。つまりビジネスモデルとは、売上を上げるための製品・サービス、事業戦略、収益構造、想定顧客などを含む概念です。