ラングの発表を受け米フォーブス誌は、旅行ライターで同誌上席寄稿者のラウラ・ベグリー・ブルーム氏による記事を掲載。「予想外のひねりとして、伝統と現代が融合した活気あふれる大都市、日本の東京が4位にランクイン」したと述べている。

もっとも、同ランキングは宿泊費など実際の諸費用を積み上げたものではない。コーヒーや水、日焼け止めなど旅行中の趣向品や必需品を積み上げ、滞在費用を推計している。東京の場合、グラスワイン1杯(平均約700円)とミネラルウォーター1.5L(約130円)の安さが推定滞在費を押し下げた。

発表元のポスト・オフィス社は、「(同社で扱いのある)ベストセラー通貨のうち90%が、1年前より対ポンドで下落している」と指摘。イギリス人観光客にとって、東京を含め、長距離旅行でリゾートへ向かうチャンスだと示唆している。

出所=英ポスト・オフィス社「ホリデー・マネー・レポート」

オーストラリアでは東京、大阪、京都がトップ5入り

場合によっては、日本はバリ島よりも安価な旅行先と目されるようになった。オーストラリアでは休暇の旅行先として、地理的に非常に近いバリ島がこれまで人気だった。しかし、シドニーの日刊紙「オーストラリアン」は昨年12月、旅行予約サイト大手のエクスペディアが発表したデータを掲載。

当該データによると、オーストラリアの人々に人気の旅行先として東京が1位となり、トップ5のうち3つを日本の都市(東京・大阪・京都)が占めたという。2位がバリ島、3位はシンガポールとなった。バリ島の首位陥落は8年ぶりとなる。

エクスペディア・グループでマネージング・ディレクターを務めるダニエル・フィンチ氏は、オーストラリアン紙に、不動の人気を博すバリ島を東京がかわしたことに当初は驚いた――と語る。だが、理由は明らかだった。

「データを掘り下げていくと、さほど驚くことではありませんでした。外貨が大きな要素であり、以前ほど円高ではありませんので、それが大きく貢献して興味を惹いたのでしょう」

オーストラリアのYahoo!ファイナンスは、オーストラリアからの飛行機代を除けば、1日あたりの予算はバリ島より安いと紹介している。

バリ島の場合、宿泊費としてホテルのシングルルーム1泊約1万円を含め、屋台などで安価に食事を済ませれば、1人1日あたり1万4000円ほどで滞在可能だと記事は推算。これに対し東京では、閑散期のビジネスホテルで1人1泊5000円ほど。食費はバリ島よりも高く付くが、1人1日合計で1万2000円ほどあれば滞在可能だ。ホテルのランクをもう少し上げたとしても、総費用はバリ島とほぼ同じ水準になる。