外国人観光客は日本のどこを訪れているのか。東大カルペ・ディエムによる『外国人しか知らない日本の観光名所』(星海社新書)より、第3章「中部地方の知られざる観光名所」の一部を紹介する――。(第2回)
芥川龍之介の小説にも登場する橋
上高地は、飛騨山脈の南部、長野県側にある景勝地です。中部山岳国立公園の一部として、国の特別名勝、特別天然記念物に指定されています。その美しさはこの世のものとは思えないほどで、山奥にあるにもかかわらず毎年120万人以上の観光客が訪れることからもその人気がうかがい知れます。
この上高地のランドマーク的存在が「河童橋」です。大正池と明神池の中間ほどに位置し、梓川の両岸をつないでいるこの橋は、芥川龍之介の小説『河童』に登場することでも有名です。
橋上からは穂高連峰や焼岳を望むことができ、季節によっていろいろな色に染まる山々を一望できます。特に夏の新緑や秋の紅葉などの時期は大勢の人々が押しかけ、「上高地銀座」と呼ばれるほどです。
人気の理由
日本特有の動植物も多く見られる上高地は、世界中の自然愛好家にとって見逃せないスポットになっています。
加えて上高地の雄大な自然の原風景と、そこにかかった一本の木造建築のつり橋が調和した風景に、特に日本らしさを感じる外国人観光客が多く、自然だけでなく日本らしさに出会える景勝地として人気です。そしてこの河童橋自体がフォトスポットでもあり、美しい自然を写真に収めるためにぴったりなロケーションでもあるのです。
近くには土産物屋やレストランも位置しており、登山中に少し休憩したくなったときの場所としても活用されています。
注目ポイント
日中の絶景もさることながら、夜になると空を覆いつくすほどの満天の星を望むことができるので、これを目当てに海外からやってくる観光客の方もいらっしゃるようです。