静岡の魅力は「富士山」、「お茶」だけではない

静岡の観光資源といえば富士山、そしてお茶です。富士山を見ながらお茶を飲む――それだけでも充分に魅力的ですが、外国人観光客の静岡観光はそれだけでは終わりません。

日本観光地百選で1位に選ばれた日本平の山頂から日本平ロープウェイを経由してたどり着く「久能山東照宮」が、いま国外から人気を集めているのです。

久能山東照宮正門、静岡県
久能山東照宮正門、静岡県(写真=Zairon/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons
人気の理由

久能山東照宮は、江戸幕府を創始した徳川家康が眠っているとされる由緒ある神社ですが、国外人気の背景には観光サイト「GaijinPot」で紹介されたことがあります。また、クルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス号」が来航したのも要因の一つです。

ロープウェイで久能山東照宮に着くと、まず一ノ門越しに美しい駿河湾の景色に出会えます。ちなみに久能山の南側には1159段のつづら折りの石段があり、ロープウェイを使わずに歩いて頂上まで登ることもできます。大変ですが、その分だけ海や木々をじっくり味わえます。

境内を進んでいくと、重要文化財である楼門の厳かな雰囲気に圧倒されます。門の中央には「東照大権現」と書かれた額があり、これは全国の東照宮の神様として祀られている家康を表しています。

観光いちご狩りの発祥地

その他にも、国宝に指定されている御社殿には当時の芸術と建築技術が詰まっており、全国の神社に散見される建築様式「権現造」のルーツとなっているなど、歴史的な見どころもあります。

注目ポイント
東大カルペ・ティエム『外国人しか知らない日本の観光名所』(星海社新書)
東大カルペ・ディエム『外国人しか知らない日本の観光名所』(星海社新書)

東照宮そのものに加え、周辺施設も充実しています。東照宮のある静岡県久能は観光いちご狩りの発祥地といわれており、1896年(明治29年)に松平健雄宮司より託されたいちごの苗を玉石の間に植えたことがそのきっかけです。以来、久能では玉石を決まった角度で重ね、いちごの苗を植える石垣栽培でいちごを育て続けています。

この方法だと、太陽光が直角に当たるのでいちごの成長が早くなるのです。久能でメジャーな品種は「章姫」。一般的ないちごは横広な円錐形ですが、章姫は縦長円錐形と見た目が違います。

自然と歴史を感じ、ユニークないちごを味わう旅はいかがでしょうか。

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