市民ランナーを虜にするノンカーボンの厚底
箱根駅伝でシューズシェア率が注目されるようになったが、彼らがレースで着用しているのはカーボンプレートを搭載した厚底モデル。一方、市民ランナーが普段のランニングで使用するのがノンカーボンの厚底シューズになる。
同じ厚底で、見た目の違いは分かりにくいが、使用目的が異なる。前者はカーボンプレートの反発力とミッドソールのクッション性のハイブリッド。「速く走る」のが主な目的で、耐久性(使用走行距離)はさほどなく、価格も3万円前後と高額だ。
一方のノンカーボンの厚底シューズをシンプルに表現すると、クッション性を重視した“弾むシューズ”になるだろう。こちらは耐久性も高く、価格は2万円前後と比較的リーズナブルだ。ナイキでいえば「インヴィンシブル 3」、アシックスなら「ノヴァブラスト 4」が該当モデルになるだろう。フルマラソンで4~5時間を目指すランナーにもちょうどいい。
「ランナー世論調査2023」でランニングシューズを購入する際に重視する点を聞くと、「クッション性(衝撃吸収)」が60%でダントツトップだった。前出の国松さんも近年は「跳ねる楽しさ」が重要視されているという。
そういう意味でも、OnとHOKAは市民ランナーにとってピッタリで、かつ旬なブランドになるだろう。
両ブランドのシューズはビジュアルが独特で、国内ではタウン用としての人気も高いが、近年はエリートランナーへの販促も目立っている。
Onは佐藤圭汰(駒大)という学生長距離界のスピードスターが着用。3000m障害で世界と戦う三浦龍司が入社したSUBARU、今年の箱根駅伝に出場した駿河台大のユニフォームも手掛けている。
HOKAも宮下隼人(コニカミノルタ)、鎧坂哲哉(旭化成)ら国内トップ選手をサポートしているだけでなく、昨年から大阪国際女子マラソンを協賛している。
すでに市民ランナーのメインストリームとなりつつあるが、今後はエリート層でも両ブランドが輝きを放っていきそうだ。そうなると国内のシューズシェア率の勢力図が大きく変わる可能性もある。