どの家にも同じような炊飯器がある時代ではない

社内システムを見直していくうえでもお手伝いできることはあると思います。

根本的な効率化を図り、新たなビジネスチャンスを掴つかんでいくためには、まず二次元データの運用をやめることです。CADで設計したものをわざわざ二次元データにして現場で運用しているのは、量産時代から脱却できていないことの表れです。

昭和の高度経済成長期は、同じ製品でも、造れば造るだけ売れる時代でした。

対して現代は「多品種少量生産の時代」になっています。

昭和であれば、どの家に行っても同じような炊飯器があったものですが、今はさまざまなメーカーのさまざまなシリーズの炊飯器が使われるようになっています。

誰かの家に行って、自分の家と同じ炊飯器が使われていることなどはまれなのではないでしょうか。流行はやりすたりもあるので、同じ製品を長く造り続けるケースもほとんどなくなっています。

そうであるなら、量産時代の手法が通用しなくなるのは当然です。

三次元データをわざわざ二次元データに変換してしまうように、時間とお金を要しながら何のプラスも生み出さない工程を守り続けている場合ではありません。

多品種少量生産にシステムも合わせる必要がある

製造業にはいくつかのフェーズがあります。まずどういう製品を造ればいいかといった「構想」を練るところから始まります。

次に「開発・設計」が行われ、「生産準備」、「製造」と移っていきます。製造のためには「調達」や「装置設計」も行われます。製品ができあがれば「販売」、「保守・メンテナンス」へと進みます。

各部門を連携させられるマスターのデータがあれば、設計から製造への流れが良くなるだけでなく、調達や保守・メンテナンスにおいてもさまざまな情報を生かせます。販売にフィードバックもかけられるのでマーケティングのあり方も変わってきます。

多品種少量生産の時代だからこそ、正確な情報にもとづいたスピーディな動きをしていく必要があるのです。

そのためにも、情報をすべての部門につなげることは必須です。データの管理方法を見直すだけでも効率化は進みます。製造業を変えるキモとなることなので、まずそこをやらなければ始まりません。

それと同時に企業間や業界の垣根をつくらない標準化の取り組みを進めていく必要もあります。自分たちのことだけを考えていたのでは遅れは取り戻せないからです。