「違った視点で見られるから…」に騙されてはいけない

世の中のコンサルタントは、「製造業は専門分野ではないが、違った視点で見られるからこそ新しい領域に導ける」といった論法を持ちだすことが多いのだと想像されます。ガラパゴス化しないためにも自分たちの言葉に耳を傾けるべきだというのが彼らの言い分ですが、単なるレトリックに過ぎない気がします。

ものづくり太郎『日本メーカー超進化論 デジタル統合で製造業は生まれ変わる』(KADOKAWA)

製造業をわかっているなら、改革すべき部分はハッキリしています。独自のソリューションを持ち込もうというなら、必要な改革を終えてからにすべきです。いたずらに横からシステムに手をつけても“改悪”になるだけです。

実際にそういうことをしてしまったコンサルタントが複数存在していたため、日本の製造業は正しい進化ができなかったのだと見ることもできます。

欧米や中国が次のステージへと進んでいくなか、日本の製造業界は30年間、迷走を続けてしまった。その事実には、ただただ怒りを覚えます。

繰り返しになりますが、今の製造業界にだまされている余裕などはありません。だからこそ私は、実のある改革を提供していきたい。役割は地味でも、製造業を下支えするような存在になりたいと考えているのです。

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