花粉症とアトピー性皮膚炎を併せて発症する人は多い

3.アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は幼児期から10代に多いと言われる疾患です。40代になると患者数はぐっと減りますので、就労世代ではご自身が罹患りかんされている方だけではなく、養育されているお子様がアトピー性皮膚炎に悩まれているという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

また、症状が悪化するのは乾燥が強くなる冬だと思われがちですが、花粉症もアトピー性皮膚炎もアレルギーを原因としていますので、2つを併せて発症する方は多く春先に症状が増悪する患者さんも多くいます。症状としては、慢性に痒みと皮膚炎を繰り返す病気で、幼少児期では頸部けいぶや関節部分、成人になると上半身(顔、胸、背中など)に皮疹が多く見られます。重症化してくると夜も眠れないほどの痒みを伴う方もいらっしゃいます。

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治療の3本柱は「スキンケア」「薬物療法」「悪化要因の対策」

アトピー性皮膚炎の治療の3本柱は「スキンケア」「薬物療法」「悪化要因の対策」です。保湿剤で乾燥を防ぐことやアレルギー反応を起こす悪化因子となる紫外線やホコリ、ダニ、花粉などから皮膚を守るなどの日々の生活の工夫に加えて、状態に合った正しい薬物療法を行うなど、アトピー性皮膚炎の治療は、毎日行う必要があります。また、患者さんの中には、いろいろな医療機関で診療を受けたにもかかわらず、「症状がうまくコントロールできない」「治らない」という経験がある方も多くいらっしゃいます。アトピー性皮膚炎の治療は、本当に難しいのです。

実際、アレルギー疾患の患者及び養育者の就労・就学支援を推進するための研究班が行ったアンケート調査では、アトピー性皮膚炎のために仕事量や内容が制限されることが時々あると答えた割合が34.8%、仕事のために通院が制限された結果症状が悪化することが時々あると答えた割合が27.3%も見られました。また仕事をしている間、アトピー性皮膚炎のせいで生産性が半分以上低下したと感じている人は15.3%でした。

同様に、子のアレルギー疾患の治療のために養育者の仕事の生産性や仕事の内容が制限された、したいと思った仕事が達成できなかったなど、子の治療と養育者の仕事の両立に問題を抱えている方が少なくないことが分かっています。(「アレルギー疾患・関節リウマチに罹患した労働者と患者の養育者に対する治療と就労の両立支援マニュアル」2022年2月改訂)

患者さんが定期的に通院し正しい治療を受けられるために、周囲の理解や支援がとても必要とされています。