皮膚温度の変化をきっかけに起こる「寒冷蕁麻疹」

2.寒冷蕁麻疹

寒冷蕁麻疹は皮膚温度の変化がきっかけとなって起こるじんましんで、鳥肌に似た皮膚症状と痒みが特徴です。寒冷蕁麻疹の有病率は全人口の0.05%程度ですが、他の蕁麻疹と合併していることがあり、いくつかの原因を抱えて蕁麻疹に悩まれている方が少なくありません。

寒冷蕁麻疹には、冷たいものに触れたところにだけ症状が出る「局所性」と、冷えによって全身に症状が出る「全身性」の二つのタイプがあります。局所性寒冷蕁麻疹は、水や氷などの冷たい物質に触れた体の一部にのみ円形や地図状の膨疹が現れ、多くの場合痒みや赤みを伴います。一方、全身性寒冷蕁麻疹は、体が冷えることによって全身に症状が出ます。局所性同様、膨疹と赤みを症状として、強い痒みを伴うこともあります。

寒冷蕁麻疹の約95%は局所性と言われています。いずれも刺激を受けた直後から数十分後に蕁麻疹が現れ、数時間から24時間で治ると言われています。しかしながら、掻きむしると蕁麻疹が広がったり、悪化してしまったりすることがありますので症状を早く抑えたいと思うのが心情でしょう。

雪の寒い日
写真=iStock.com/freemixer
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治療には抗ヒスタミン薬が用いられることが多い

寒冷蕁麻疹の治療には、一般的には抗ヒスタミン薬が用いられます。

複数のエビデンスによって、膨疹、紅斑、痒みを抑制する効果が示されており、1剤で効果が不十分である場合には、ほかの抗ヒスタミン薬に変更または増量してもよいとされています。発症を抑える目的だけではなく、症状が出た時に服用するといった使い方も、有効であると考えられています。(日本皮膚科学会ガイドライン「蕁麻疹診療ガイドライン2018」)

また、抗ヒスタミン薬にもいくつか種類があります。妊娠中でも比較的使用可能なもの、眠気が強く出やすいものや効果が強いもの、1日1回の服用のものもあれば2回のものもあります。自動車運転が制限されているお薬もありますので、医師と相談し、生活や体質にあったお薬を見つけられると良いでしょう。5〜8年程度で自然寛解が期待できる疾患ですが、抗ヒスタミン薬をうまく使って、日常生活に影響が出ないように過ごせるといいですね。