意味記憶どうしの新しい結びつきで「直観」が生じる
つまり、意味記憶においては、言葉にできるかどうかよりも、その意味合いを経験的に理解していることが重要となるのである。歳を重ねればこういった知識が若いころよりも圧倒的に多くなり、意識されることがなくても私たちの行動を導いている。
これを、「知識」あるいは「知恵」と言ってもいいだろう。人生観、世界観といったことも、そのかなりの部分を意味記憶が作っており、直観を生み出すのも意味記憶のネットワークがどのように結びついたかが重要になるわけだ。
そして、この意味記憶は無意識の中にしまい込まれているため、自由自在に取り出すことは難しい。その時の気分や、体調、脳がどのように働いているかといった要素の総和として、意味記憶どうしに新しい結びつきが生まれて、直観という形で「降りてくる」のである。この意味記憶の結びつき方を、意識的に誘導する手立てを探すことが、本書『直観脳』の目的である。