よい人間関係を築くためには、どんなことが必要なのか。脳科学者の岩崎一郎さんは「積極的にあいさつをしたり、素直な気持ちで人と接したりすることが大切だ。簡単なことと思われるかもしれないが、脳科学的にも良い影響がある」という――。

※本稿は、岩崎一郎『30日で人生がうまくいきだす脳の習慣』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

会議室で休憩中に同僚と話す陽気な女性マネージャー
写真=iStock.com/PrathanChorruangsak
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脳はネガティブになりやすいようにできている

もともと脳はネガティブな情報を受け取りやすい、ネガティブなことに意識が向きやすい傾向があります。

ネガティブな情報ばかり受け取っているとだんだん気持ちが落ち、脳にブレーキがかかって、脳がうまく機能できなくなります。

そこで注目してほしいのが、こめかみの辺りにある左脳の「ブローカ言語野」です。言葉を発するときに使われる領域です。

ブローカ言語野の辺りが活性化してくると、ネガティブな情報、ポジティブな情報、両方共に意識が向けやすいということがわかってきています。

ポジティブな情報も受け取りやすくなるので、ネガティブな情報に意識がいっても、そこまで気持ちが落ちずに、脳のアクセルも働きます。その結果、脳全体をうまく活用できるようになるという効果があります。

ブローカ言語野を活性化するには、あいさつが効果的です。

僕自身、もともと無口・口下手な人でした。

人に声を掛けられてもすぐに声が出なかったり、もごもごしたりして、声を掛けてくれた人はその間に通り過ぎてしまったり……そんなことをやっていました。

そういうときに、まず僕が始めたのは「元気にあいさつをする」ということでした。

「おはようございます」でブローカ言語野が活性化する

どうしてあいさつがブローカ言語野を活性化するのでしょうか。

ブローカ言語野を活性化するには、いままで会話がないところから突然パッと何か言葉を発するというとき非常に活性化することがわかっています。

それが、まさにあいさつですよね。

あいさつは、その前に会話があるわけではなくて、誰かに会ったときに最初に「おはようございます」「こんにちは」と声を掛けます。いままで会話がなかったところから突然パッと言葉を立ち上げるので、ブローカ言語野が使われるのです。

また、「ありがとう」というのも、じつはブローカ言語野を鍛えるのにとてもいいと気づきました。

あいさつと同じように、何も会話がないところから突然パッと立ち上げるのにいいですよね。

「ありがとう」と言うと相手の人も喜んでくれます。

たとえば、コンビニで買い物をしたときに、店員さんに「ありがとうございました」と声を掛けると、丁寧な対応になるだけではありません。同時に、ブローカ言語野を鍛えられるのです。

あいさつをする、「ありがとう」をたくさん言う、これを普段から心掛けていきましょう。