自分をハメた人物もまた犯罪組織にハメられた可能性

会社の口座を通じて円に換金したことで犯罪グループに組み入れらてしまった柴田さんですが、事情を取材していると、こんな驚くべきことを口にしました。

「この話をもってきた石井も犯罪収益金だったことを知らなかったことも考えられます」

自分をハメた石井もまたハメられた“被害者”の可能性はあるというのです。

「石井が面倒をみていた人物にA男がいるのですが、そもそもは、この人物が石井に持ち掛けてきた話のようなのです。A男は東南アジア(フィリピン)でオンラインカジノをしていると聞いています。(警察の話などから)このグループは関西で特殊詐欺をしていた集まりではないかということでした」

現在、石井も、A男も東南アジアにていて、帰国していませんが、日本に戻れば逮捕されることになりそうです。そうなれば、長年にわたって行われてきた、NTTの関連会社をかたり詐欺をしてきたグループの全容解明の端緒がつかめるかもしれません。

資金決済法違反になる

「僕は石井とのやり取りで儲ける気はこれっぽっちもありませんでした。ただ、実際にはビットコインを円にするプロセスで暗号資産の価格が上がり“利益”が発生しました。結果的に、手数料で利益を得てしまうという暗号資産交換所のような立場になり、金融庁に登録することなく、この行為をしてしまったことで、法律違反に問われました」

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紫田さんが換金する際のいわば手間賃として手数料を石井からもらっていたことが、資金決済法違反になったわけですが、柴田さんは「これはあくまでもリスクヘッジのつもりでした」といいます。

「ビットコインは急激に上がって利益が出ることもあれば、逆に一気に下がってマイナスになることもあります。レート変動による赤字のリスクや、円に交換する時にかかる取引所の手数料もありましたので、毎回、1%ほどの手数料をとった形で、石井には、お金を渡していました。しかし結果として、9回のビットコインの換金により利益が出てしまい、(犯罪収益金の)75万円を受け取ってしまうことになった」

柴田さんは組織犯罪処罰法にも問われています。

「円に換金したビットコインのなかに、被害に遭った方の500万円分が含まれていて、その際、7万円ほどの利益が出ていて、その犯罪収益金を手にしたこともあり、裁判所より懲役3年(執行猶予5年)の有罪判決の判決を受けることになりました」

おそらく柴田さんがビットコインを円に換えた、ほぼすべてが詐欺によるお金の可能性があります。しかし明確に被害金とわかる500万円で立件されての判決になっていると思われます。