「ある意味、正直に書きすぎた」

小泉純一郎首相の秘書だった飯島勲と元検事の宗像紀夫が以下のような対談をしている。

【飯島】これまでの政治資金の問題といえば「入り」の問題を指摘されることが多かったのに対し、舛添さんの件はその部分に問題がない。珍しいケースです。また、購入した書籍の一覧や会食の調査結果を見ると、舛添さんはむしろ細かく書きすぎているほど。

【宗像】記載と裏付けの領収書をつきあわせれば詳細な内容が判明したものと思われ、虚偽記載などとは違って嘘はなく、むしろきちっとやっていたという印象ですね。

【飯島】政治資金規正法に引っかからないようにある種の“テクニック”でうまくやる人たちが多いなかで、ある意味、正直に書きすぎたのが舛添さんのケース。いわば「透明性100%」ですよ(笑)。

こんなに細かく書けば、当然、逐一指摘される。舛添さんの政治資金報告書をスタッフとしてチェックする立場だったら、「バカ正直に書きやがって」と書き直させたかもしれない。(『Hanada』2016年8月号

写真=iStock.com/Cecilie_Arcurs
「ある意味、正直に書きすぎた」(※写真はイメージです)

「5年間で30万円」でも辞任したが…

1円の単位まで、全ての支出を記載すれば、会計責任者が1000件のうち1〜2件をミスする可能性はある。その金額が5年間で30万円のケースと、1千万円を超える金額の支出明細を全く記載しないのと、どちらのほうが、罪が重いのか。前者のケースでは政治家が職を辞し、後者(今回)では政治家は責任をとらない。自民党は処分もしない。

政倫審での審議と平行して、与党は職権で予算委員会での採決を決め、3月2日に衆議院で予算案を通過させた。これで、参議院の対応がどうであれ、予算案の年度内成立が決まった。

派閥解散、政倫審出席決定は岸田の独断専行であり、そのリーダーシップを評価する声もあるが、首相のこの行動に対する自民党内の反発も強まっている。