【令和の新型不適切編】

誰もが「不適切よばわり」を恐れ、多種多様で大量の「不適切」を前に立ちすくんでいる令和の今。そんな状況だからこそ、つい口にしてしまう不適切フレーズがあります。

フレーズ7「こんなこと言ったらセクハラになっちゃうかなあ」

〈不適切ポイント〉たとえば、女性の同僚に「そのスカート、すごく素敵だね」みたいなことを言ったあとで、あわててこう加えました。言う側としてはセクハラという非難を予防しつつ、いちおう配慮ができる人間であることを示したつもりです。しかし相手は、スカートをホメられたことは何とも思わなかったとしても、保身に走りまくっているこのフレーズには、さぞ腹が立つでしょう。相手を確実に不快にして、自分の評価を大きく下げてしまいます。

フレーズ8「いちいち気にしてたら何も言えなくなっちゃうよ」
石原壮一郎『押してはいけない 妻のスイッチ』(青春新書プレイブックス)

〈不適切ポイント〉こう言っている本人は、やたらと「不適切」があふれる世の中に鋭く警鐘を鳴らしたつもりかもしれません。しかし、街で体格のいい人を見て、いきなり「デブ」と言ったりしないはず。誰しも「言っていいこと」と「言ってはいけないこと」は、常に意識して生きています。このフレーズを口にするのは、自分の無知や無神経さを指摘されてムッとしたから。幼稚さや相手の気持ちに配慮するつもりがない傲慢ごうまんさを露呈してしまいます。

フレーズ9「このプランはコンプラ的にマズイんじゃないかな」

〈不適切ポイント〉「コンプライアンス」への配慮は、たしかに大切です。細かく気にすれば気にするほど、ちゃんと仕事している気にもなれるでしょう。しかし、批判やクレームを警戒し過ぎて何でもかんでも自主規制してしまうのは、それはそれで極めて不適切。コンプラ様の顔色を窺っているだけで、自分で考えて判断することを最初から放棄しています。そんな姿勢が当たり前になった世の中は、面白くない上に、お先真っ暗ではないでしょうか。

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