「代替可能な労働者」にとどまってはいけない
実際の経済では、図の中で「サラリーマンの群れ」と記した場所に入る丸(「点」に見えるかも知れないが)の数が圧倒的で、彼(彼女)らが提供する価値が養分となって経済を循環している。ここのエリアには、似たもの同士の労働者タイプAが集まっている。彼らには、安く買い叩かれやすいことも含めて、「経済的に不利な重力」が働いている。ここにだけとどまる人生を全力で回避せよ。
若い人が早く気が付いてくれるといいのだが、自分の不利を認めることは時に精神的に難しい。安く働く仲間同士で群れて「人生はこんなものだ」と諦めるようなケースが少なくない。将来の君がそうならないために、今の君に対して、父はこの本を書いている。
さて、人生では、必ずしもお金持ちを目指す必要はないのだが、経済的に不利なコースは歩んでほしくない。たとえば、これから世に出て一旗揚げようと思う若者はどのようなコースを目指すといいのか。
答えは、「狙い筋A」のコースだ。すなわち、自分で起業する、起業の初期に参加する、ストックオプションをたくさんもらえる条件で働くなどで、株式性のリターンを求めるのだ。この場合、リスクにさらす賭け金は自らの「人的資本」だ。使えるものは、惜しみなく、早く使え。
投資は「チキン」だが、何もしないより随分いい
会社が失敗したら、あるいはクビになったら、またやり直すといいし、現在はかつてと違ってそれが可能だ。不動産投資のようなものと異なり、失敗しても借金無しだ。
株式性の報酬にアクセスする働き方の機会がなかなか得られない時、あるいはもっとありそうな場合として、リスクを取るには気が小さい時、せめて自分が持っている金融資産にだけでもリスクを取る役割を担わせようとするのが、投資だ。図では「狙い筋B」として示した。
率直に言って、いかにも「チキンな(臆病な)」選択肢だ。「狙い筋A」の人生よりも退屈だし、経済力を作るまでにはひどく時間が掛かる。それでも、何もしないよりは随分いい。
もちろん、「狙い筋A」と「狙い筋B」を併用して構わないし、そうするのが合理的だ。これからを生きる君には、適切なリスクを取って、効率良く稼いで、機嫌のいい人生を送ってほしい。