「静かな場所で勉強」は大間違い

よく、勉強のノウハウ本などには集中力を高める方法として「図書館に行こう」とか「静かな環境を選ぼう」とか書いてあります。ですが、私はそれに反対です。

というのも、たとえば図書館で勉強することを習慣化し、集中を高めるためのスイッチにしてしまうと、そこ以外で勉強することができなくなってしまいます。

極端な話、勉強するたびに図書館に行かねばなりません。

自宅から図書館が5分の位置にあるというのならまだしも、わざわざ20分も30分もかかる場所にある図書館に行く。往復すれば1時間近くにもなる時間をムダにしてしまうのはもったいないことです。そして何より、図書館は人を神経質にしてしまいます。

多くの本で言われているように、静かな場所で勉強するというのはとても理想的な環境です。邪魔するものはありませんし、自分の世界に入り込んで勉強できることには違いありません。

ですが、理想的なものがベストかというと、決してそういうことはないと思います。

図書館のような静まり返った場所での勉強を基本としていると、コーヒーショップやファミリーレストランなどでは「静かじゃないから集中できない」となってしまいかねません。

つまり、何かにつけて「ここは〜だから」というような思考回路ができあがってしまい、勉強しない理由、勉強ができない理由を作ってしまう可能性があるのです。

これは限られた時間の中で勉強をするという意味で非常によくありません。

「静かな環境」という存在が、自分の勉強の制約や足かせとなり、結果的には自分の急所になってしまうかもしれないのです。

その意味で、私は勉強をするのに環境を選ぶべきではないと考えています。

時間のせいにしない、環境のせいにしない

実際これまでもそうしてきたのですが、勉強場所を決めるときは静かだからというようなことではなく、「会社から近いから」とか「自宅から近いから」とかそうした物理的な距離などで考えています。

佐藤孝幸『仕事と勉強を両立させる時間術』(クロスメディア・パブリッシング)

ある特定の場所でしか集中できない状況を作るのではなく、電車の中でも何でも集中できるようになった方が成果と効率は高まります。

何も轟音響くライブハウスでやれとかそんな極端なことは言いませんが、ちょっと周りの音がうるさいくらいの環境で勉強を習慣化した方が長期的にはいいと思います。

コーヒーショップやファミレス、電車の中で集中できるようになれば、勉強の効率はかなり高まるでしょう。何より、試験の本番で周囲の受験生を気にしたり、変なことに気を回したりといったことにならずに済みます。

時間のせいにしないことと同じで、勉強ができない、結果が出ないことを環境のせいにするのもナンセンスなのです。

環境に左右されず、自分のペースで勉強できるようにならなければなりません。

ただ、もちろん図書館がいい環境であることに異論はありませんので、「たまには気分を変えようかなぁ」というときだけ、図書館に行けばいいでしょう。

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