目標を達成するにはどんな時間の使い方をすればいいか。弁護士で公認会計士の佐藤孝幸さんは「結果を生み出すのは『効率』だ。そして、効率を支えるのは『やる気』と『集中力』であり、それらは『欲』と『危機感』から生まれる。目標設定はあくまでも短期間で、太く短くがいい」という――。(第1回/全4回)

※本稿は、佐藤孝幸『仕事と勉強を両立させる時間術』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

時計を前に仕事をするイメージ
写真=iStock.com/coffeekai
※写真はイメージです

バブル崩壊でも常に涼しい顔をしていた経理部長

時はさかのぼり、私が大学生だった頃の話です。

1980年代末、バブルの全盛期でした。空前の“超売り手市場”の中、ある外資系の銀行に就職しました。

もともと外資系に就職してバリバリ働きたかった、ということではありません。人付き合いがわずらわしくなく、かつ転勤の可能性もないということで選んだ会社です。

というのも、私は社会人として2年くらい働いたら大学院で勉強をするつもりでした。

資格を取ることなど夢にも思わず、「とりあえず仕事には困らないだろうし、好きなことをやろう」。それくらいの感覚で社会人になってしまったのです。

ですが当然、現実はそんな甘いものではありませんでした。

私のいた会社では、新人だからといって何を教えてくれるということはありませんでした。

わからないことは許されず、完全に放置されます。簿記などの必要な知識は自分で身につける必要があったのです。

ただ、そんなのは序の口。

きついとは言え、まだまだ気持ち的には「何とかなる」という状態でした。私の人生観を変える決定的な出来事は、入社2年目に待っていました。

バブルの崩壊です。

先輩社員たちが次々とリストラされていく様を見ました。

幸い年次が低く、先輩社員に比べて給料の少ない私がすぐターゲットになるということはありませんでした。

ただ、その様子はかなりの恐怖と危機感を私にもたらしました。転職をしようか、リストラされたらこの先どうなってしまうのだろう……。さすがに焦りました。

しかしそんな中、よく面倒を見てくれていた経理部長だけは涼しい顔をしていました。

マイペースに仕事をこなし、常に余裕なのです。

もちろん、それには理由があります。