社内で価値が認められ、他の会社でも重宝される
外資系企業とは、外国の企業のことです。つまり、本国で培ってきた商売の習慣やルールがあります。
ですが、本拠地が外国にあるといえども、商売する場所は日本なのです。すなわち、そこには日本独自の法律やルールがあるわけで、どんな企業もそれを無視することはできません。
外資系の経理部とは、まさにその点を指摘できる部署なのでした。「日本の法律はこうなので、それはできません」。そう言ってしまえば、たとえトップが外国の人であれ、意見のしようがありません。
彼はそんな経理部署のトップであり、さらに税理士の資格も持っていたのです。
「この人は磐石だ」と私は思いました。
社内でも十分に価値が認められているし、そのうえ税理士という資格があるので、他の会社でも重宝されます。
私の価値観、考え方はそのときに変わりました。将来世界がどうなっても大丈夫なように資格を取らないといけない。
それも難易度の高い、普通の人は持っていないような資格を取ろう。そんな欲が私を駆り立てました。
働きながら「いかに効率よく勉強するか」
そんな折、電車の中の広告でふと見つけたのが「米国公認会計士」という資格でした。
あまり聞きなれない資格だと思いますが、米国公認会計士とは、USCPAと呼ばれ、文字どおりアメリカで公認会計士として働くための資格です。
私もはじめて聞いた資格でしたが、調べてみると試験は私の得意な4択のマークシート式。また、面接もないのでずば抜けた英語力は必要なく、大学入試レベルでOK。
さらに、日本の公認会計士のように合格者を上から成績順に取るというのではなく、一定の点数に達すれば誰でも取得できるということがわかりました。
ちょうど会計の知識を身につけたいと思っていた私は、「これだ!」と資格の取得に全力を注ぐことを決意しました。
就職2年目、11月のことでした。
本番の試験はその翌年の11月、期間はちょうど1年です。私は過去類を見ないくらいのパフォーマンスを発揮して勉強したと思います。
そして次の年、結果的に私はUSCPAの試験に合格することになります。
働きながら、しかもタイムリミットもあったので、「いかに効率よく勉強するか」を重点的に考え、試験に挑みました。
その後、資格の取得には会計事務所での実務経験が必須だったので、私はアメリカへ渡り、公認会計士事務所で働くことになったのです。
と、ここまでが私の20代前半のお話です。何も、「すごいだろう」と自慢したいのではありません。
そんなことはどうでもいいことで、言いたいのは、結局やる気や集中力を自分の意思でコントロールするなどほとんど不可能だということです。