欲と危機感を抱け
私がそうだったように、結果を生み出すのは「効率」です。そして、効率を支えるのは、「やる気」と「集中力」です。
ただ、やる気や集中力は小手先のテクニックなどでは生み出すことはできません。
やる気と集中力は、「欲」と「危機感」から生まれるものなのです。
「このままだとヤバイぞ」という「危機感」が必然的にやる気を呼び、有無を言わせず集中させるのです。
同じように、「あれがほしい」、「これがしたい」という「欲」がやる気と集中力を発揮させるのです。
おそらくあなたも、仕事や受験勉強で追い込まれたときは、自分でも驚くほどのパフォーマンスを発揮したことがあるのではないでしょうか。
明日提出しないといけない書類、レポートなら必死にやります。人間、やらなきゃ仕方ないものはやるのです。
つまり、欲や危機感をいかにして作り出すか、自分をそういう環境に置けるか、それがポイントになります。
詳しくは、このあと私の実体験を踏まえながらお話ししていきますが、まずは本書のガイダンスとして、「欲」と「危機感」というキーワードをおさえておいてください。
日本での経験はまったく役に立たない仕事の量と質
では、人はどうすれば欲と危機感を抱けるようになるのでしょうか。そのキーになる要素は、「時間」だと考えています。
時間は誰にでも平等です。世界に時間で計れないものはありません。
私の1日のスケジュールも、これまでの人生も、これからの人生も、すべて時間で計ることができます。
たとえば、私は朝ごはんを10分で済ませます。家から会社までは30分です。メールは10秒で返します。弁護士の仕事をあと10年続けるつもりです。といったように、分単位であれ、年単位であれ、時間はあらゆる物事のバロメーターになります。
誰かの1分も私の1分も同じ。でも、使い方が違う。それだけの話です。だからこそ、意識すべきは時間の使い方になります。
このことを特に考えさせられたのは、USCPAの試験にパスしたあと、アメリカの公認会計士事務所で働きはじめてからのことです。
数年でしたが、外資系で働いていた私は、ある程度アメリカのスピードにもついて行けるだろうと高をくくっていました。しかし、現実は想像以上。日本での経験はまったく役に立たなかったと言っていいほど、仕事の量と質が重視されました。
特に私のような新人の場合、黙っていても上司は決して仕事をくれません。私の能力がどの程度なのかわからないからです。
そのため、自分の能力をアピールし、「仕事をふってください」と社内営業する必要があります。自分から仕事をもらいにいかなければ、結果どころか、そもそも仕事にありつくことさえできないのです。