国会議員として力があるうちは動かない

国会議員でも、脱税で摘発された者はいる。しかし、それはかなり限られたケースだ。

政治家は入金や出金に不透明な部分が多く、ほとんどの人が多かれ少なかれたたけば埃が出るともいわれている。なのに、国税はよほどのことがない限り動かない。

写真=iStock.com/Yusuke Ide
国税はよほどのことがない限り動かない(※写真はイメージです)

たとえば、元自民党幹事長の加藤紘一氏に国税の調査が入ったことがある。ただそれは加藤氏が自民党に反旗を翻して失敗した「加藤の乱」の後のことだ。

加藤紘一氏は、以前から税金に関してグレーの部分があるとマスコミなどで言われていた。が、彼に勢いがある間、国税はまったく動こうとはしなかった。動いたのは「加藤の乱」の失敗で政治的な力を失って以降の話だ。

またかつての自民党のドン、故金丸氏もまた脱税を摘発されているが、それも佐川急便からの多額の裏献金事件が発覚した後のことである。故金丸氏は5億円もの裏献金を受けていたが、贈賄では立件できなかった。

政治献金には税金がかからない

しかし故金丸氏は5億円を受け取っており、「ワリシン」という金融商品を個人名で購入した、という事までわかっていた。

それが申告されていないのはおかしいという世論に動かされて、ようやく国税は摘発に踏み切ったのだ。

ただ故金丸氏が国会議員でいる間は動いていない。彼が世間の批判にさらされ、議員バッジをはずしてから、国税はやおら重い腰を上げたのである。

政治家への税金の制度自体、非常に緩いものとなっている。

まず政治献金には、事実上税金がかからない。

というのは、献金は政治家本人にされるのではなく、政治団体にされる建前になっており、その政治団体は、収益事業をしていない限り税金がかからない。

「収益事業ではなく政治活動」であれば税金がかからないのだ。