47通りの答えをあらかじめ用意する

さらに、「自分の特徴に被りやすい質問」を先に準備しておくと、自然な会話のなかで共通点を見つけやすくなります。

「スポーツは好き?」と聞いて、答えがイエスなら「何のスポーツ?」と聞きます。そこで自分の趣味であるバスケットボールと共通しないかを確認し、その答えがノーであれば、「ということはインドア派?」とさらに聞いて、インドア系の自分の別の趣味などと共通項がないかを確認する。

こんな感じに、ある程度先までイエス/ノーの質問のパターンをあらかじめ用意しておくのです。

もう1歩進んだ方法として、相手がどんな答えやリアクションをしても、必ず自分との共通点に引き寄せるパターンをあらかじめ準備しておく、という手もあります。

たとえば「出身はどちらですか?」と聞けば、相手は47の都道府県のどれかを答えるでしょう。そこで、あらかじめ各都道府県と自分とのかかわりを47通り準備しておきます。

「沖縄ですか。実は私も、一度旅行に行ったことがありまして……」「秋田ですか。私は直接行ったことはないんですが、実は秋田名物の桜の皮の茶入れを普段から使っているんですよ」「へ~、愛知ですか。部下の1人が名古屋出身で……」

こんなふうに、一つひとつは他愛もないエピソードでかまわないので、とにかくどんな答えが出てきても共通点につなげられる受け答えのパターンを事前に準備しておくと、なかなか共通点が見つけられない相手や、細かく相手の情報を聞き出す時間的な猶予がない場合に便利に使えます。

私が常に5色のハンカチを持ち歩くワケ

私自身、このテクニックを相手との距離を詰める際の鉄板パターンにしています。少しアレンジして、常に5色のハンカチを持っておくという方法です。

写真=iStock.com/plavevski
※写真はイメージです

こうしておくと、相手が何色のハンカチを持っていたとしても、「あ、同じ色ですね!」と言えます。相手のハンカチの色がわからなくても、ネクタイの色やシャツの色などを指して、「あ、その色、今日の私のハンカチとお揃いです!」などと言いながらその色のハンカチを取り出せば、とりあえず最初の共通点をつくり出せます。

そして少し話したあとで、「実は『一緒ですね!』と言いたいがために、いつも5色のハンカチを持っているんですよ」とハンカチをすべて見せることで、ちょっとした笑いも取れます。

さらにその理由について話すことで、「営業のプロフェッショナル」としての実力を相手に印象づけられる、というわけです。

5色のハンカチは少し上級者向けの方法ですが、似たようなネタや展開を自分なりに考えて準備してみましょう。私自身を含め、コミュニケーションが得意ではない人ほど事前の準備が物を言います。

商談の途中で話に詰まってしまったとしても、この鉄板パターンで少なくとも1つは共通点を引き出せるので、初対面でも緊張しにくくなる効果もあります。

ポイント
共通点を3段階で把握するのに合わせて、自分に関する情報も事前に3段階で整理しておく。
そのうえで、必ず共通点が生まれる鉄板質問を用意する。