※本稿は、岩田圭弘『数値化の魔力』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
キーエンスの数値化は「プロセスの数値化」
前回の記事でもお伝えしましたが、キーエンスの数値化について、再度おさらいしましょう。
“キーエンスの数値化”とは、いわば「プロセスの数値化」です。
たとえば、「受注件数○件」を目標とする営業であれば、受注(結果)に至るまでの「DM→電話→アポ→面談→商談化」の各プロセス(行動)を分解します。
「採用人数○人」を目標とする人事であれば、採用(結果)に至るまでの「応募→書類選考→一次面接→二次面接→最終面接→内定承諾」の各プロセス(行動)を分解します。
そして、それぞれのプロセス(行動)に数字的目標を立て、日々その実績を記録していきます。
こうして、結果に至るまでの自分の行動を分解し、数値化することで、自分の行動のどこにボトルネックがあるのかが見えてきます。そのボトルネックを解消していくことで、「仕事の結果」を最大化していきます。
これが“キーエンスの数値化”です。
「もっと受注件数を上げるように」と言われても…
そもそも、なぜこうして「自分の行動」を見える化しないといけないのでしょうか。その理由を簡単にご説明します。
たとえば、あなたが営業担当だとします。会社としての売上目標を達成するために、上司から「○○さん、今月も受注が未達だよ。もっと受注件数を上げるように」と指示されたら、どう思うでしょうか。
既にあなたは業務を真面目に遂行してきているわけですから、「これ以上何をすればいいのかわからない」という状況にあることが多いでしょう。
「それならクロージングトークを強化しよう」といった意見も出ますが、「果たして、それが本当に受注増加につながるのだろうか」というモヤッとした疑問を持ちながら、明確な努力の方法もわからず、気持ちだけが追い詰められてしまいます。
そうです。「結果(ここでは、受注が未達)」だけをいくら見ていても、その「原因(課題)」が明らかになることはありません。当然ながら、「原因」がわからなければ、改善のしようはありません。