「港区の闇」を晒したWEBドラマ

では、なぜこのような商標登録をしたのかというと、『港区女子』というタイトルのドラマを制作したからだ。

「東カレ」は「東京・港区を舞台にギャラ飲みで生活を凌ぐ港区女子たちのリアルを描いたドラマ」(東京カレンダーホームページ)を22年6月からネットで配信をしている。では、そこで描かれている「港区女子」はこれまで「東カレ」の誌面に登場したイメージなのかというと、そうではない。

わかりやすいのは、YouTubeに公開された「【WEBドラマ】『港区女子』が配信決定!港区の闇を再現したリアルストーリーの特別動画・予告(60秒)」だ。この予告編では冒頭いきなりこんなテロップが大きく浮かぶ。

「港区の闇、すべて晒す」

そして、タレントの佐藤ミケーラ倭子さん演じる主人公が「私はこのまま落ちていくの?」「誰か助けて」「誰か止めて」などと苦悩するシーンが流されていく。

ギャラ飲みの4000万円所得に国税がメス

いかがだろう。財布を持たずにイケてる金持ちおじさんと毎晩、高級レストランでグラスを傾けているキラキラした港区女子とかけ離れた「闇落ちした女性」というネガイメージではないか。

もちろん、このようなネガイメージづけはその前からも徐々についていた。「東カレWEB」上で2018年から連載されていた小説をコミック化した『恋と友情のあいだで』も21年に単行本化されると、こんなキャッチコピーがつく。

「『港区女子』の傲慢ごうまんさと不幸を描く漫画」

そんな港区女子の傲慢さと不幸さは、フィクションだけではなく現実世界でも広まっていく。「東カレ」が「港区女子」の商標を登録した22年2月、港区女子には欠かせない「ギャラ飲み」に国税のメスが入ってしまうのだ。

「東京国税局は、ギャラ飲みで3年間に約4000万円の所得を得ていた女性に申告漏れを指摘し、約1100万円を追徴課税しました」(CS放送 TBS NEWS 2022年2月)

この調査は、ギャラ飲みを仲介していると言われるマッチングアプリ大手「pato」(パト)にも及んだ。もちろん、以下のような記事があるように、港区女子は「追徴課税」くらいで生き方を変えることはしない。

「『社長さんが追徴金1000万払ってくれたからだいじょうぶ』ギャラ飲みバブル“港区女子”に国税のメス 本人たちに直撃すると…《何も考えず100万円くれる富豪も》」(文春オンライン 22年2月17日
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