「港区女子vs高級寿司店」が億バズり

こんな話がなぜ「億」もバズったのかと首を傾げている人も多いのではないか。

1月下旬からSNSやネットを騒がせている「港区女子vs高級寿司店」トラブルのことだ。

きっかけは、東京・六本木のラウンジで働いているという女性が、南麻布の有名寿司店の大将が険しい顔をして今にも迫ってきそうなところを弟子が後ろから抑えるという臨場感のある写真とともに、「殴られそうになった」と投稿をしたことだった。

この女性が言うには、大将にワインの置き場所の変更を頼んだところ、不機嫌になってしまったということで、「こんなお寿司屋さん初めて」と口にしたら激昂してカウンターを乗り越えてこようとしたという。

夜、ワインで乾杯をするカップル
写真=iStock.com/kieferpix
※写真はイメージです

ただ、これには多くの常連客が疑問を投げかけている。中には独自に調査を行い、この女性が店内で写真を無断撮影するなどの迷惑行為をしていたことがトラブルの原因だと主張する人たちまで現れ、あれよあれよという間に2.8億インプレッション(表示回数)という「億バズり」したというワケだ。

ハイスペック男性との結婚を夢見ている

そう聞くと、「よっしゃ! オレも高級寿司店の大将に喧嘩を売って億バズりだ!」というバカ……ではなく軽率な方もいらっしゃると思うが、今回のトラブルがここまでの世間の耳目を集めたのは、トラブルの中身がどうとかではなく「港区女子」というバズワードによるところが大きいという。

ご存じの方も多いだろうが、港区女子という概念を世に広めたのは、首都圏のハイラグジュアリーな人々のグルメや恋愛事情を紹介する雑誌「東京カレンダー」(以下、東カレ)といわれている。確かに「東カレ」の誌面では2017年ごろから港区在住の経営者やハイスペック男性を「港区おじさん」と呼び、その対となる存在として、夜な夜な高級レストランに現れるタイトな服装を好むモデルのような風貌の「港区女子」なる人々が頻繁に登場している。

女性誌の取材で港区女子にも出会うこともあるというライターの毒島サチコ氏の記事によれば、港区女子は港区に住んでいる女性ではなく、「職業は“自称モデル”が主流だったが、現在は会社員も多い」という。では、彼女たちの目的は何かというと、「夢はハイスペックな男性との結婚」だという。目的が目的なので当然、食事やデートは男側が奢るのが「常識」だ。