脱水症は朝晩の「味噌汁」で防げる

出かけたり、運動をして汗をかいたりする日、脱水症や熱中症が心配なときは、朝ごはんと夜ごはんでカボチャやワカメの入った味噌汁を飲みましょう。

水分とミネラルを効率よく補給できるスポーツドリンクを飲むのもいいですが、それ以上に1杯の味噌汁にはナトリウム、カリウム、マグネシウムなど必要な栄養が豊富です。

「塩分のとりすぎを防ぐために味噌汁を飲まない」などと言われることがありますが、それは理にかなっていません。そもそも味噌汁の塩分は際立って多いわけではないですし、材料の大豆により一緒にカリウムがとれます。

カリウムには、尿が出やすくなる作用があり、排尿時にカリウムとほぼ同量の塩分(ナトリウム)を排出してくれる作用をもっているので、味噌汁ばかりを減塩の的にすることはないのです。

たとえば、煮干で出汁をとり、赤味噌(1杯分10g)を使ったカボチャ(薬味ネギ)の味噌汁の場合、1杯の栄養成分は次のとおりです。

エネルギー 62kcal
タンパク質 2.0g
脂質 1.0g
炭水化物 11.0g
ナトリウム 558mg
カリウム 296mg
マグネシウム 23mg
リン 52mg

高価な機能性飲料を飲むよりコスパがいい

あるスポーツドリンク100mlと比べ、ナトリウムとカリウムは約4倍、マグネシウムは約10倍でした。スポーツドリンクよりカロリーも高く、スポーツドリンクには含まれないタンパク質や脂質もとれます。スポーツドリンクに含まれるブドウ糖や塩素が味噌汁には含まれません。

味噌汁で脱水症や熱中症の予防ができるのです。暑い季節が長引く中、連日のように高価な機能性飲料を飲むのは、お財布に負担になりますが、味噌汁はコスパもいい!

以前、私の故郷に近い松江市の中学校の野球部員と保護者に、真夏も元気に練習や試合ができるよう、栄養のアドバイスをしたときも味噌汁をすすめました。部員数が大会に出られるギリギリの数だったので、誰もダウンするわけにいきません。みんな朝晩ちゃんと味噌汁を飲んでくれ、誰も欠くことなく勝ち上がり、中国地方大会に出場しました。

朝晩、「味噌汁を飲む」ことがきっかけで食生活が見直され、味噌汁に合わせてごはんやおかずを整えるようになり、食事が全体的に充実したことも影響したと聞いています。

味噌汁があると、ごはんがおいしくて、おかずも欲しくなりますものね。野球部員たちはしっかり食べて活躍し、その話題は町の人たちまで元気にしました。

管理栄養士で大妻女子大学家政学部の川口美喜子教授は「水を無理して飲まなくても、朝晩の味噌汁で水分はとれる」と指摘する(出典=『100年栄養』)