塩分が心配でも、「味噌汁断ち」はしてはいけない
味噌汁は塩分が高いと信じられているようですが、それはまったくの誤解です。
先にも述べたとおり、味噌は塩分(ナトリウム)を多く含んでいても、ナトリウムを体外へ排出するはたらきをもつカリウムも多く含みます。みなさんもご存知のとおり、発酵食品ですから腸のはたらきを保つためにも、毎日食べてよいもの。健康効果の高い食品の1つです。
さらに、みなさんがイメージしているほど1杯の味噌汁の塩分量は高くありません。
1杯の塩分量は約1.2gというのが定説になっていますが、実際には、家庭でつくられている味噌汁は、ほとんどの場合それほど塩分を含んでいません。
大学で、管理栄養士をめざす学生たちに「家で味噌汁をつくる鍋、味噌、お椀、具材」などを持参してもらい、普段どおりに味噌汁をつくってもらい、お椀によそった1杯分の塩分を量ってみたことがありました。
結果、平均的に塩分量は1杯0.7gで、味も十分に満足できるものでした。
確かに、日本人は「塩分とりすぎ」傾向にありますから、減塩を心がけるのはよいことで、中高年以降の人の生活習慣病を防ぐために「減塩」は重要です。
ただし、「減塩のために味噌汁は飲まない」はあまり的を射ていません。味噌汁は飲み、発酵食品である味噌と、実として入れる野菜や海藻、大豆製品などの組み合わせで得られるメリットを優先しましょう。減塩はほかのことで試みるのが得策です。