脱水症状は「親指の爪」をつまむだけでわかる

脱水は、ただ単に「水を飲む量と回数」では測れません。私の実感で言うと、食事回数が少ない、食事量が少なくなるなど、食事の野菜・果物・汁物からとる水分が減っている場合に、脱水症状が多い印象です。

食事を十分にとり、ごはんのときに口をさっぱりさせてくれるお水1杯、食後に好きなお茶を1杯飲んで、あとは「のどが渇いた」と感じたときに飲めば十分、と思っています。私が社会活動で出会う高齢の人たちも、そのような飲み方で十分必要な水分をとれていると感じます。

自分に問いかけてみるとは言っても、判断が難しいときには、次のようなポイントがあります。

①朝のおしっこの色はどうですか?

尿の色は、脱水気味かどうかのサインになります。体内の水分を保とうとして尿としての水分が減ると、おしっこの色は濃くなります。昨日食べたり飲んだりした食事や回数を確認してください。

②爪をつまんでチェックしましょう。

まず、手の親指の爪がピンク色かどうかチェックします。次に反対の手で親指の両脇をつまんでみてください。ピンク色から白っぽい色に変わるはずです。そのあと、つまんでいた指を放してすぐ、もとのピンク色に戻ったら、水分は十分とれています。戻るまでに3秒以上かかるときは脱水症状の疑いがあります。

水分不足を「水」だけで補っていないか

水分不足を「水」だけで考えないで、食事全般で見渡します。野菜・果物・汁物が減っていませんか? 野菜や果物は8割から9割が水分です。間食を水分とともに食べていますか? 食べていなかったら、食べる習慣をもちましょう。

健康情報や呼びかけを暮らしに取り入れることはよいことだけれど、「よい結果」につなげるには、取り入れる前に自分への「問いかけ」が必要です。

こうした問いには自分と、ときとして家族以外、誰も正しく答えることはできません。一般論は、一般論にすぎないのです。とくに食生活は、みなさんそれぞれ多様な営みを長く続けてきて、いまがあるので、一般論が当てはまる人は思う以上に少ない。私は、これまでたくさんの人の栄養を見てきて、そう思っています。

だから、食べたり、飲んだりして栄養をつけようと思うとき、主治医は自分と思ってください。家庭での食生活改善で間に合わない問題が起きた場合には、私たち管理栄養士という「食べるに関するプロ」のサポートを活用していただきたいと願っています。