「脂肪肝」の原因はお酒の飲みすぎとは限らない。肝臓外科医の尾形哲さんは、「お酒を飲まないにもかかわらず発症する『非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)』は約2,000万人。甘いものをとれば、確実に肝臓が蝕まれることを知ってほしい」という――。

※本稿は、尾形哲『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

ドーナツ
写真=iStock.com/Stefan Tomic
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日本の成人の3人に1人は脂肪肝

C型肝炎治療の劇的な進歩によってウイルス性肝炎による肝硬変の割合が減少する一方で、肥満や糖尿病などの代謝性疾患による「脂肪肝」が増えています。

特にお酒を飲まないにもかかわらず発症する脂肪肝を「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」といい、その数はなんと約2,000万人。成人の3人に1人が脂肪肝だといわれる、もはや「国民病」です。糖尿病は予備軍を含めて約2,050万人といわれ、それに匹敵する数です。両方を併発している人も少なくありません。

肝臓は、アルコールの分解を筆頭に、有害物質の解毒やタンパク質の合成など、体内で数々の働きを担う臓器。肝臓を悪くするのは、お酒を大量に飲む人というイメージがありますが(これはもちろん本当です!)、「お酒を飲まないから関係ない」ともいえません。

その原因は“糖質の摂りすぎ”にあります。そこで、甘いもの好きな人が“甘いもので健康を奪われない”ために、知っておいてほしい食べ方の誤解を解いていきましょう。

誤解その1:疲れたときにはスイーツで元気に

「甘いもので太る」のは、みなさんご存じで、日頃から気にするところでしょう。でも、パソコン作業や家事などのタスクに集中して疲れたときに、つい、チョコやキャンディー、クッキーなどの甘いものを口にしてはいませんか? カフェで甘いドリンクを飲む人も多いでしょう。

わざわざ高級店でケーキを食べに行くとなるとハードルが高いですが、「サイズが小さなものなら大丈夫!」「コンビニスイーツは手頃だし」「カフェのドリンクなら……」と、ハードルを下げて口にしがちです。