健康的にお酒を楽しむには、どんなことに気をつければいいのか。肝臓外科医の尾形哲さんは「ウイスキーやウォッカなどの蒸留酒は糖質ゼロだが、アルコール度数は高い。このためハイボールはビールよりもむしろ太りやすいお酒だといえる」という――。

※本稿は、尾形哲『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

レストランでビールとサワーで乾杯する人々
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肝硬変のトップ原因になった「お酒の飲みすぎ」

これまでC型肝炎ウイルスがトップだった肝硬変の原因が、今年はじめてアルコール性の肝硬変が原因の1位に躍り出ました。とはいえ、アルコール摂取量の平均は1992年のピーク時に比べて、74%まで減少しています。飲酒しない人の割合も増えていることを考慮すると、お酒をたくさん飲む人の飲酒量がさらに増えていると考えられます。特にコロナ禍によって在宅飲酒が習慣になってしまい、抜けきれないという声も聞かれます。

飲酒機会が増える年末・年始を迎えるにあたり、お酒好きな人がお酒で“太らない”、“健康を失わない”ために知っておくべき飲酒の誤解を紹介します。

誤解その1:お酒では太らない

糖質ゼロのお酒なら太らない、お酒は体熱産生で消費されるから太らない、おつまみを控えれば太らないと思っている人が、実は多いようです。ですが、それは大きな誤解です。

お酒を飲むと体はアルコールの処理を優先するため、中性脂肪をエネルギーとして使う働きが低下します。同時に、中性脂肪を体内にため込む働きが高まります。さらに、血糖値が低下したときに糖質以外の物質からエネルギーを産生する「糖新生」という働きがストップすることが知られています。このトリプル作用で、中性脂肪が増えてしまうのです。