「飲める人」でもビールならジョッキ3杯まで

最後に、赤くならずにいくらでも飲めてしまう人。アセトアルデヒドの分解スピードが速いため“飲める口”といえます。だからこそ、飲酒量を自分でコントロールする必要があります。1日で日本酒5合程度(純アルコール量100g)を超す多量の飲酒を続けると、男性40年、女性30年で肝硬変になると推計されるデータがあります。飲めるタイプの人でも最大1日で純アルコール量60gまでにし、休肝日を設けましょう。

純アルコール60gとは、ビールならジョッキ3杯、ワインならグラス4~5杯、日本酒で3合なので、飲む日には、これを上限としましょう。

誤解その3:ウコンやしじみのサプリで肝臓強化ができる

ウコンやしじみのサプリメントで飲み会に備えてはいませんか? 巷では肝機能の改善をサポートする栄養補助食品として、ウコンやしじみエキスなどのサプリメントが人気のようです。

しかし、肝臓専門医として肝機能が低下している人は、サプリメントの摂取をストップしてほしいと思います。サプリメントがかえって肝機能を低下させているケースを否定できないからです。

2005年、日本肝臓学会が民間薬や健康食品など、健康保険で承認されていないものによる薬物性肝障害の調査を実施しました。その結果、原因で最も多かったのがウコンだったのです。ウコンを飲んでいる人の多くは、飲酒量も多いと想定されるので、原因がウコンであるかを確実に突き止めることはできません。ただ、少なくともウコンによる二日酔い予防や肝機能改善を示す科学的根拠は十分ではありません。

肝臓の代謝・解毒作用を高める「オルニチン」を多く含むことを理由に、飲みすぎた翌日にしじみのみそ汁を飲むことを推奨する情報もあります。ですが、しじみは鉄分の含有量が多く、肝機能が低下していると鉄分が蓄積して肝障害が引き起こされる例も報告されています。

二日酔いになるまで飲まないことがベストですが、飲みすぎた日の翌日は、多めに水を飲み、野菜たっぷりのスープやみそ汁などをとるとよいでしょう。