甘い食べものが引き起こす「魔のループ」

確かにブドウ糖は脳のエネルギー源になるため、疲れると脳からは甘いものを欲する司令が出ます。だから、“ハードルの低い甘いもの”にスッと手が伸びてしまうのです。これは、脳がそうさせる行動なので、ある意味、仕方がないことです。

とはいえ、空腹時に甘いものを食べれば、血液中に糖が増えて血糖値が急激に上昇。すると、すい臓からは血糖値を下げるホルモンのインスリンが分泌されて、血糖値を下げます。ところが、このときにインスリンは、“糖を中性脂肪に変えて体内に蓄える”のです。

さらに急上昇した血糖値を速やかに下げるため、インスリンの分泌量も過剰になって、今度は急激に血糖値を降下させます。すると血糖値が下がりすぎて低血糖になり、空腹感がムクムクと湧き出して、また甘いものが欲しくなる悪循環が起こるのです。

それだけではありません。低血糖状態では、疲労感が強くなったり、イライラが強くなったりもします。つまり、疲れをとるはずの甘いものが、再び疲れを呼び起こす魔のループになっているというわけです。

こうして、「疲れたから」「がんばったから」とご褒美のスイーツを食べると、かえって疲れは増すことを知っておいてください。

誤解その2:エナジードリンクを飲めば疲労回復

年末は疲れもピークに達しがち。疲れた体を回復するために、エナジードリンクを飲む習慣のある人もいるでしょう。

エナジードリンクには、眠気覚まし作用が期待できるカフェインや、エネルギー補給に役立つ糖分などが配合され、作業のパフォーマンスが一時的に上がることがあります。しかし、なけなしの燃料に酸素を送り込んで一気に燃焼させるようなもので、残念ながら心身の疲労が回復するわけでも、睡眠不足が解消されるわけでもありません。

それだけではありません。糖にカフェインが加わると、糖単体で摂取するよりも高血糖になることも報告(※)されていて、肝臓にはダメージの大きい飲料です。

Jane Shearer, et al. Nutrients. 2020;12(12):3850.