のらりくらり→「緩慢」という連想

次に( 2 )に移ろう。クレームを入れたら、「( 2 )の対応」をされたのでいらだってしまったのである。普通ならば、平伏して謝罪すべきところを、相手がそんなそぶりも見せず、「のらりくらり」とした対応をされたのかもしれない。この推測した「のらりくらり」に意味が近いものを選ぶことになる。

「かんまん」の「まん」の漢字が「慢」であると気づいた受験生は正解できただろう。ちなみに、「怠慢」や「慢心」「高慢」などの熟語を思い浮かべれば分かるが、この「慢」には「思い上がり」という意味がある。そしてこの問題の「かんまん」は「緩慢」と書き、「ゆるやか」のような意味である。漢字の意味がわかると熟語を理解しやすいので併せて覚えておきたい。

このように前後のコンテクストから空欄の意味を推し量ったり、ひらがなを漢字に置き換えたりすると、この手の問題は対処できることが多い(すべてではないけれど)。

難しい2択をどう決めるか

さて、大人でも思い悩んだのは、( 4 )と( 5 )ではないだろうか。解答は絞れていて、イの「かぶん」か、ウの「ねんごろ」がどちらかにそれぞれ入ることには気づくだろう。でも、どっちの表現が適切かは難しいかもしれない。以下にそれらを書き出してみよう。

① 大切な客人に対し(かぶん)なもてなしを心がける。
② 大切な客人に対し(ねんごろ)なもてなしを心がける。
③ 先方の(かぶん)な心づかいに感謝する。
④ 先方の(ねんごろ)な心づかいに感謝する。

「かぶん」は「過分」という漢字になることに気づいてほしい。「分が過ぎる」、つまり、「分不相応である」という意味になる。これは自分をへり下る謙譲表現の一種と解してもよい。よって、①の「大切な客人に対し(かぶん)なもてなしを心がける」はおかしい。大切な客人に「お前らには分不相応なもてなしだけどな」などとは言わないだろう。ここには「ねんごろ」が入る。漢字に置きかえると「懇ろ」となる。「懇親」の「懇」の字であり、「心を込めた、丁寧に」のような意味となる。

そして、④はもちろん「かぶん」である。先ほど説明したように、これは謙譲表現の1つである。④の主語が「わたし」であることからも理解できるだろう。