旧制一中以外の「ナンバースクール」とは
昨年12月に公開した〈47都道府県の「旧制一中」の栄枯盛衰…地元トップを維持する名門22校と凋落した元名門17校の全リスト〉という記事がご好評いただいた。
これは、かつて地元の名門だった旧制一中が現在どうなっているのかを紹介したものだが、旧二中など、それ以外の旧制中学にルーツをもつ「ナンバースクール」は現在のどの高校なのか、また、進学校として健在なのだろうかという質問をよく受ける。
拙著『日本のベスト高校100』(啓文堂書房)で、戦前に公立の旧制中学だった学校の後身を丁寧に拾っている。都道府県によって事情はそれぞれだが、名前としてナンバーが振られていなくとも、設立順は必ずあるので順番を付けることは可能だ。
前回の記事で書いたように、旧一中ないし旧一中的な学校とは、1886年に文部省が出した「中学校令」(便宜上、一県一中学校令と呼ぶ)で、それまで存在した中学が、各道府県一校の尋常中学に集約されたものをいう。その後、1891年にこの方針が弾力化されたので、徐々に数校の中学が各道府県に設置された。
兵庫には「一中」と「神戸一中」があった
ただし、同時に複数校が設立されたり、いったん設立されて廃止されたりと複雑なケースもあるため、ナンバースクールの選び方は私とは別の解釈もあるかもしれない。
はじめはナンバーを振っていたが、途中で多くなってきたので地名が校名になったところもある。滋賀県の膳所高校でいうと、1898年に創立されたときは、滋賀県第二尋常中学校だったが、10年後には滋賀県立膳所中学校に改称した。
また、神戸一中(神戸)、二中(兵庫)、三中(長田)のように、兵庫県の一中ではないが、神戸市内にある中学校のなかでナンバーがついていた場合もある。東京の場合は二十三中(現在の大森高校)まであって、きちんとナンバーが振られている。
以下、全国のナンバースクールのうち旧二中・三中を一覧表にして紹介するが、同時設立など複雑なケースについては、本稿後半の都道府県別の紹介をご覧いただきたい。