堅調に首位をキープし続ける浦和

【埼玉】

1990年代以降、浦和はほとんどの年で首位だった。京都大名誉教授の清野純史じゅんじ氏(浦和)は高校ラグビーで県大会準優勝を経験。76年に京都大を受験したときのことを綴っている。

「京都大学ラグビー部から一枚のはがきをもらった。『俺たちと一緒にラグビーをしよう』。ただそんな内容のはがきだった。当時、京大はラグビー大学選手権に出場するほど強く、テレビで見て憧れを抱いていた大学でもあった」(「京都大学 工学広報」2023年4月)。

2013年、浦和が全国高校ラグビー選手権大会に出場したときのラグビー部員が、14年法学部に合格した。高校時代をふり返る。「ほとんどの時間をラグビーに費やしました。そのため勉強は早めにきて、その日のやらねばならない予習をしたり、定期テスト前にテストの範囲を詰め込むくらいしかしていませんでした」(『私の京大合格作戦2015年版』)。

1964-1993年累計、1994-2023年累計、2016年、2023年における埼玉県内の高校別京大合格者数ランキング(出所=『京大合格高校盛衰史 天才たちは「西」を目指した』)

2014年法学部合格の男子(埼玉・開智)は出身校の受験指導に感謝する。「長期休みや受験期にはとても多くの講習が組まれ、また先生方も生徒の面倒をよく見てくださるので、努力を重ねて実力をつけていけば、多くの人が予備校に行かずとも難関大学の合格を勝ち取れるでしょう」(『私の京大合格作戦2015年版』)。学校の教育方針がよくわかる。

◆最多合格者:県立浦和高校32人(1988年24位)

“東大京大ダブル合格者”を多数輩出した千葉県

【千葉】

千葉は1963年から毎年、合格者を出している。関東の公立のなかではもっとも息が長い。東京大とのダブル受験が可能な87年に35人、88年には47人で強さを見せた。

1964-1993年累計、1994-2023年累計、1993年、2023年における千葉県内の高校別京大合格者数ランキング(出所=『京大合格高校盛衰史 天才たちは「西」を目指した』)

2019年、渋谷教育学園幕張において、京都大学男女共同参画推進センターから渋幕出身の女子学生2人が派遣され、「京都大学女子セミナー」を開いた。中学3年から高校3年まで25人の女子生徒が参加し、京都大での学びや研究施設、学生生活の様子、受験勉強の方法などの話があった。同校はこう伝える。

「このセミナーは京都大学より、本校女子生徒の入学の強い希求が示されたものです。(略)二人が語った京大進学のモチベーションは『自立』と『東大至上主義への反骨』。セミナーに参加した女生徒たちの、本校での学びの意欲が向上した、とても有意義な時間となりました」(同校ウェブサイト2019年9月25日)。

これが功を奏したのだろうか。20年に同校から薬学部に進んだ女子がこう話す。「私は薬剤師として周囲の人に頼られる両親とその仕事に憧れ、幼い頃から薬学に興味を抱いていました。学科にとらわれることなく最先端の幅広い専門知識を得たいと思い、学科配属の遅い京大薬学部を目指しました」(京都大学案内「知と自由への誘い2023」)。

◆最多合格者:県立千葉高校47人(1988年11位)