日本人の限られた常識では計り知れない
投票を終えた蔡英文総統は記者団の前で、「今日は天気がとても良くて絶好の投票日和です。ぜひ、国民の皆さんは投票に行ってください。民主主義国家の公民の皆さんは手の中にある1票で国家の未来と前途を決めてください。一刻も早く投票して、公民の権利と義務を果たしてください」と語っていた。
国民党の侯友宜新北市長も当日の投票を終え、「朝早くから国民が自主的に投票に並んでいます。台湾の民主主義を示してくれています。選挙の中で最も大事なのが投票行動です。とてもうれしい気持ちです。私たちの民主主義で私たちの理想の総統と副総統、そして国会議員と好きな政党を選ぶのです。そしてもっと大事なことは、選挙中はいろいろといざこざがありましたが、選挙後はみんな一緒に団結して、台湾の未来に向かっていきましょう」と述べ、投票結果をお互いに尊重しようという姿勢を見せている。
日本にある政治と台湾にある政治はまったく違うものではないかという以前からの思いが、今回の取材で確信に変わった。日本人が一般的に持っている知識や常識だけでは、他国の本音や実力は計り知れないのである。さらにこうした違いを知ることが、日本人にとっては自国や自分自身をより正確にとらえ直すことにつながるのかもしれない。