仕事の種類によっては「タイムラグ」がある
ただし、仕事の種類によっては行動しているときと成果が表れるタイミングに大きなタイムラグが生じる場合があります。この場合は、たとえば1週間や1カ月の単位で「行動の量」を数値化して可視化したときに、頑張っている割には成果が出ていないと焦ってしまったりモチベーションが下がってしまったりする可能性がありますが、焦りは禁物です。
このような場合は、自身の仕事の性質上、KGIの達成にタイムラグがあることを理解していれば、慌てることはなくなります。そのためにもプロセスごとのKPIの達成度を確認するなどしてプロセスを評価することも大切になってきます。
記録を続けることで「因果関係」が明確になる
日々記録を続けることの意義は他にもあります。因果関係が明確になっていくのです。
「不足(課題)」の分析をする際、行動実績のデータ(N)がたくさんあるほうが、分析の精度が上がります。
たとえばサイコロの「1」が出る確率は「6分の1」ですが、2~3回転がしただけでは「1」が出るとは限らず、確率に大きなブレが生じます。
しかし、20~50回とサイコロを振る回数(試行回数)を増やして分母を大きくすれば、確率は本来の「6分の1」に近づきます。これが「大数の法則」ですね。
これと同じで、行動実績も短い期間の数字だけだと、母数が少なすぎるため、そこから出てくる数字、特に「転換率」が不正確なものになります。「転換率」は「行動の質」の不足点を明確にするための基準となる数字です。
ですから、不正確な「転換率」を頼りに、「行動の質」の不足点を分析することになるので、正確に原因を突き止められない場合があるのです。しかし、たとえば、日次の実績を月末に集計して月次の実績としてまとめたときには、1カ月分のデータが蓄積されているので、「転換率」は比較的正確な数字になっています。
「結果につながる努力」をするためにも重要
そのため、そこから導き出される「行動の質」の不足の原因も正確である場合が多いのです。これは、「結果にきちんとつながる努力」をするために、非常に重要です。同じように、四半期、半期、年度単位での行動実績を記録していくことで、数字の精度はどんどんと上がります。
このような期間の考え方は、営業以外でも同じです。たとえば人事であれば、人材募集のチャネルごとの実績数がある程度、蓄積された3カ月や半期といった単位で分析することで、初めてエージェント経由が有効だったのか、媒体経由のほうが有効だったのかといった評価を行なえるようになります。
このように、日々の実績記録は振り返りに役立つと同時に、「自分の不足」の原因の特定の精度を上げ、正しい努力をすることに寄与するのです。