「中学受験をしたい」娘が決めた選択

わが家でも、娘本人から「中学受験をしたい」という申し出があったのですが、その際には私から次のように説明しました。

成田奈緒子『誤解だらけの子育て』(扶桑社)

「わが家から電車で1時間以内くらいで通える範囲には、このくらいの私立中学があります。その中で、あなたが地元の公立中学校よりも本当にいい学校だな、行きたいなと思える学校があるなら、そのための費用を出すことはやぶさかではありません。しかし、受験しても必ず行けるとは限らない。不合格となる可能性があることも、重々承知するように」

加えて、「中学受験をするにあたっては、塾に通う人も多い。塾は学校とは別で、夜の6時から9時くらいまで勉強するところだけれど、どうする?」と。幼い頃から早寝早起き生活を叩き込まれていた娘は「冗談じゃない!」という反応でした。そして、いろいろな学校を見て回った結果、「ある学校を目指して受験はするが、塾には通わない」という選択をみずから下したのです。入試直前のお正月期間だけ、私も娘と一緒に集中して試験対策に寄り添いましたが、そのほかは一切ノータッチでした。

親は自分の選択肢を押しつけてはいけない

自分で決めた学校に、自分で決めた方法で合格した娘は、その後の中高6年間、心から楽しんで通うことができました。ちなみに、いわゆる偏差値、という観点からは決して高い学校ではありませんでしたので、受験勉強は、学校で習った学習にほんの少しプラスアルファで十分でした。しかしその学校は自由な校風、豊富な課外活動など彼女にぴったりあった場所で、本当に幸せに過ごせました。

親は、自分がいいと考える選択肢を子どもに押しつけるのではなく、あくまでロジカルに説明をすること。小学校高学年ともなれば、その上で「どの学校に通いたいか」「そのために塾に通うのか、通わないのか」などを自分で考え、決断することができます。

本人が納得した上であれば、仮に不合格だったとしても親子関係にヒビが入ることはあり得ません。もし通った先でつまずくようなことがあったとしても、自分の意志でここにいるのだから、と踏ん張りが効き、不登校に陥るリスクも低くなるのです。

どんなに親が素晴らしいと考える選択肢でも、子どもの意志がなければ、少しのつまずきでポッキリ折れてしまう。子ども自身に決めさせることが大切
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