人間の脳は育つ順番が決まっている
というのも、人間の脳には育つ順番があります。
図表1は、人間の脳の断面を左側から見た図です。脳と聞くとシワシワの部分を思い浮かべる人が多いかと思いますが、それは脳の外側部分でしかありません。外側のシワシワに包まれる形で、脳の中心には大脳辺縁系、脳幹、間脳、中脳などが存在します。
この中心部は、姿勢・睡眠・呼吸・食欲・自律神経・情動(危険が迫ったときなどに、恐怖や不安を感じること)といった、生命の維持に欠かせない機能をつかさどっています。
一方、外側にあるのは大脳皮質と小脳で、記憶・思考・微細運動(指先を細かく使う運動)・知覚・言語・情感をコントロールしています。
「おりこうさんの脳」は「からだの脳」の次
中心部は原始的な動物にも備わっている生きるために必須の部分なので「からだの脳」、外側部分は人間に進化する過程で発達した人間らしさの機能なので「おりこうさんの脳」と私は呼んでいます。
生まれたばかりの赤ちゃんは、「からだの脳」と「おりこうさんの脳」のどちらも、きちんと機能していません。0〜5歳くらいまでは「からだの脳」。続いて1歳頃からは、「おりこうさんの脳」。そして10歳くらいから、「からだの脳」と「おりこうさんの脳」を前頭葉につなぐつながり=「こころの脳」が発達し、論理的に物事を考えたり、衝動性を自制したりすることができるようになります。人間の脳は、この順番で、バランスよく発達していくのです。
以上の3段階で子どもの脳は育っていき、その順序が変わることは絶対にありません。