順番を間違えると脳がアンバランスな状態に

では、この脳が育つ順番を考えずに、幼い頃から詰め込み式の教育ばかりを行うと、どうなるでしょうか。

小学校に上がる前は大人の言うことをよく聞き、年齢の割に受け答えもしっかりしていて、「賢くておりこうさん」「将来が楽しみね」という周囲の評判に親も鼻高々。ところが小学校高学年〜中学生くらいになると、不登校や摂食障害、不安障害など、さまざまな問題を抱えて子育て科学アクシスのもとに相談に来るケースが、実によく見られるのです。

これは、「からだの脳」がしっかり育つ前に「おりこうさんの脳」を育てようとすると、脳全体がアンバランスな状態となってしまい、やがてこころの問題として表面化してしまうことを示しています。

子どもの脳を一戸建ての家にたとえると、「からだの脳」が全体の土台となる1階部分、「おりこうさんの脳」が2階部分ということになります。1階部分ができあがっていないうちに2階部分を完成させようとすれば、家全体が崩れてしまうのは明白です。

黒板に頭をつける小さな男の子
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早期教育で「将来の幸せ」が崩れるかもしれない

子どもの数が減っている今、教育産業も生き残りをかけて必死です。それにまんまと釣られた親御さんの不安や焦りは子どもに伝わり、不安感の大きな人間が育ってしまいます。

それでもなお、早期教育は本当に「将来の幸せのため」になっていると言えるでしょうか。人生100年時代、子どもの一生は私たちのそれよりも長く続いていきます。

「周りよりもよくできる子」という評価で、親御さんが短期的な安心を得られるからといって、中長期的には問題を抱えるかもしれないリスクを冒してまで早期教育をする必要があるとは、とても考えられません。

早期教育は、「からだの脳」より先に「おりこうさんの脳」を育てることになり、中長期的にはこころのバランスを崩すリスクがある