最初の断りは“本当の断り”ではない
当時の私は、「トップの人はどんな状況でも切り返すマル秘トークがあるのだろうな」と思っていました。しかし、あるとき、トップ営業から「お客様のはじめの断りは“本当の断り”ではない」という話を聞いたのです。本当の断りではないということは、要するにウソということです。ウソに対して「どうしてでしょうか?」と理由を聞いたり、追及したりする必要はありません。ウソに対する理由を聞かれても、お客様は困るだけですからね。トップ営業は、私に言いました。
「だから、こんなときは理由を聞いたりせずに、サラッと流してしまえばいい」と。
それから私は、お客様からの「まだ先の話ですから」という断りに対して、「そういうお客様もいらっしゃいますから、ご安心ください」と言い方を変えました。するとどうでしょう。お客様が私を拒否することがなくなったのです。当然、それからはまた自然に話ができるようになります。結果として、そこからアポイントがとれ、契約に結びつく、というケースがたくさん出るようになりました。
苦戦している営業パーソンは、断りに関して「応酬話法でなんとか対抗しよう」などと思うもの。だから、つい「どうしてなのでしょうか?」と迫ってしまいます。残念ながら、これではお客様から嫌われ、チャンスを潰してしまうだけです。
そんなことをするより、お客様の断りをサラッと流したほうがいい結果につながります。たとえば、次のような感じです。
「あせらないで、ゆっくり検討してください」
「今日、結論を出す必要はありませんからね」
自分の好きな言い方でかまいません。このようなトークでお客様を安心させることでチャンスを広げましょう。
断り文句をサラッと流せば、次の展開が見えてくる