日本のからあげチェーンよりも倒産リスクは小さい

日本で着実に店舗数を増やしているのは同じ韓国の「bb.qオリーブチキンカフェ」です。こちらは「愛の不時着」などの韓国ドラマに登場するので日本人もご存知の方も多いかもしれません。日本での運営はワタミなのですが、このチキンはKFCとは別の方向性で衣も油も違う味でありながら新しく美味しい。同じワタミが運営する「から揚げの天才」よりも発展性が高いと私は感じました。

「マムズタッチ」と「bb.qオリーブチキン」を食してみてわかったことですが、これら韓国勢のフライドチキンはビジネスモデルとして日本のからあげチェーン店よりも倒産リスクは小さいはずです。

その理由は揚げるのに時間がかかるのです。「bb.qオリーブチキン」の場合、オーダーしてから出来上がるまで20分待たされたのですが、どうやらその間、低温でじっくりと揚げている様子なのです。「マムズタッチ」もそれなりに待たされたので、同じように調理方法に独自性があるのだと思われます。

からあげ店が急増した際に、フランチャイズを募集する側がアピールしていたのは、誰でも簡単に調理できるということでした。衣をつけてただ揚げればいい。油の温度と揚げる時間は最低限の調理ノウハウとして必要事項ですが、言い換えるとそれだけですぐに経営を始められるのが過当競争となったチキンレースの原因でした。

写真=iStock.com/sittitap
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「簡単には真似できない調理法」だからチキンレースから離脱できる

逆に「bb.qオリーブチキン」の場合は健康に良いオリーブオイルを使って時間をかけて揚げるということですが、その揚げる方法がどうノウハウがあるのか外部にはよくわからない。けれどもサクサクとした衣でありながら、フライドチキンは骨からほろりと剝がれて食べることができる。これは簡単には真似できない調理法です。

欠点としてはこの「時間がかかる」ことがタイパ重視の日本市場でどこまで受け入れられるかということですが、それでも韓国発のフライドチキン文化は、日本市場のKFCとファミチキの牙城を崩すことができるだけの美味しさを持っていることに注目しています。真似ができないものが顧客を拡大させていけば、からあげ同士のチキンレースからは離脱できるようになります。

美味しい食べ物というものは、いつの時代でも成長ビジネスの可能性を持つものです。ただからあげの場合は過当競争で永続性を保てなかった。その視点で捉えると、今、静かに始まっているフライドチキンの競争市場は、からあげに代わる成長市場として期待できるのではないでしょうか。

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