「からあげグランプリ金賞多すぎ問題」の背景

同時に独立系のからあげ店もこの時期に急増します。それらのお店の多くが店頭に「からあげグランプリ金賞受賞」の文字を掲げていたことも話題になります。「からあげグランプリ金賞多すぎ問題」ですが、これには理由があります。

そもそもからあげグランプリはからあげ業界の振興のために2010年から日本唐揚協会が続けてきたイベントで、これはラーメンブームに対抗する手段として打ち出された歴史があります。ラーメンについては世の中にランキング情報が溢れる一方で、からあげについてはそのような情報が少ない。そこで業界発展のために金賞の店舗を増やした経緯があります。

ラーメンの世界では毎年100店以上の個性的なラーメン店が雑誌やウェブのランキング情報として取り上げられるので、からあげグランプリの金賞が毎年100店前後生まれるのはその経緯を考えると多いとは言えません。実は金賞の上に「最高金賞」があって、その最高金賞のお店はずっと数が少ないのですが、金賞のお店も堂々と金賞を店頭でうたう結果、世の中的にはこれが「金賞多すぎ問題」として捉えられているわけです。

から揚げ
写真=iStock.com/KPS
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フライドチキン業界に新しい動きがある

こうして美味しいからあげ店はコロナ禍の間に日本中で増殖しました。からあげ専門店は確かに美味しいのですが、難点としてはどうしてもスーパーやコンビニのからあげよりも価格が高くなることです。折からのインフレで節約需要が高まる一方で、コロナ禍が明けて外出が増えると、結果として持ち帰りの揚げたてからあげの需要は減っていきます。これが今年、からあげ店の倒産が相次いだ背景事情です。

さて、ここからは未来の話が始まります。からあげ店の倒産が急増する中で、チキンレースからの方向転換を予感させる近接業界で発展の動きがあります。それがフライドチキン業界の新しい潮流です。

実は今年の夏、私は複数の情報源から「フライドチキン業界にまた新しいトレンドが始まっている」という話を聞いて、集中的にフライドチキンを食べ歩いたことがありました。まずはそのときの情報をお話しします。