「普通の奥さんみたいにしていてくれ」

いろんな工夫をして、家の中や生活をどんどん変えていきたい。私自身も変わっていきたい。変わっていくからこそ人生は面白い。

そう思う私に対して結婚相手は「変わらないこと」をよしとする人でした。「このままで十分幸せじゃないか。何をそんなに変える必要がある?」というのが彼のスタンスだったのです。

本書で詳しく書いていますが、“自分らしさのオリジナリティ”が大切だと思っている私は、洋服もちょっと変わったものを好んでいました。

当時の私の交友関係は、いわゆる神戸の山の手の奥様方が中心でした。みなさんは、シャネルタイプのスーツや、ジュンアシダなどの上品なブランドに代表されるコンサバで、きちんとしたファッションに身を包んでいました。

ところが私ときたらそういうきちっとしたファッションよりも、モダンでとがったロックなファッションを好み、なおかつそれを自分流に気崩して着るのが好きだったのです。

もう見た目だけで周囲から「浮いてしまう」わけですね。

結婚相手からは「頼むから普通の奥さんみたいにしていてくれ」とくぎを刺されました。

17年の結婚生活に終止符

自分を責めた時期もありました。「普通の主婦になれない私が悪い」と思い悩み、結婚相手のいう「上品な奥様風の服」を着たこともあります。

でも少しも楽しくないばかりか、居心地の悪さばかりを感じるのです。いかにも借り物の服を着ている感じ。

そのことに気づいてからは、もう夫とは一緒にはいられないのだと実感するようになりました。

「もう無理かも」と感じ始めた1年後、私は結婚生活が確実に破綻に向かっていることを強く感じるようになり、夜も満足に眠れなくなりました。

「もう離婚するしかない」「でもこれは私のわがままでしかないのでは?」という心の葛藤を繰り返すようになったのです。

3人の子どもたちを父親から離すことには罪悪感を覚えずにはいられません。しかし、私はどうしても、自分らしく生きることを諦めることができなかったのです。

そうして17年間の結婚生活に終止符を打つことになりました。

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