立候補はけもの道を歩かされるほどの挑戦
私が30年前に初当選したときは、衆議院自民党に女性議員はゼロでしたから、女性議員自体は増えたといえます。とはいえ、現在の衆議院の女性議員はたった10%ですから、国際的に見てもかなり低い水準です。
なぜ日本社会では、女性議員が増えないのでしょうか。
選挙制度の観点からいうと、1994年に衆議院総選挙が小選挙区比例代表並立制へ移行した時点で、選挙区支部長はほとんど男性だったからです。その状況を今もひっくり返せずにいます。
空く選挙区は、相手候補が強いところで、女性にとっては、けもの道を歩かされるようなもの。その選挙区から出馬する女性は、負荷が重いだけでなく、負けると「女性は無能だから」というイメージが植えつけられてしまう。
また立候補者のほとんどが男性ですから、女性は男性以上に力強いことを言わないと、支援者や有権者に「やっぱり女は」と言われてしまう。そこで女性たちは生き残るために、男勝りなことを言って可愛がられるか、嫌われるか……、そういうことがずっとつづいているのです。男性と同じことを言っていたのでは、少子化社会は変わらないのに。
地方で足場をつくってから国政に
本来の選挙のあり方は、地方支部から推薦された候補者に対し、党が公認という形でお墨つきを与えるものです。
私自身、もともと岐阜県の県議会議員を経て、自民党の公認で議席をとってきた人間です。郵政民営化のときは反対の立場だったため当然、公認はとれませんでしたが、岐阜県連の推薦、公認をいただいたこともあって生き残れました。今の私があるのは、地域支援者の方たちのおかげなのです。
ところが、今の自民党の女性たちは公募の人が多く、その地域の方々との縁が薄いため、一回は勢いで当選するけれど、そのあとがつづきません。やはり選挙は、地方議会で足場をつくり、地域住民との信頼のもとに出るほうが、持続性がある。私の経験上、そう思います。