「資産のスイッチング」で時間差が発生する

2つ目の課題は「スイッチング」です。

新NISAの中で、ある資産を売却し、別の資産を購入するという一連の売買を行って、資産構成の入れ替えを行うことは、資産活用世代にとって大切です。加齢に伴ってリスク性資産の構成比率を引き下げたいと思うからです。

新NISAの生涯上限額は、資産を売却することで復活できる点が特徴として挙げられていますが、その分の枠が復活するのは売却の翌年です。

一度売却して買い戻すのが翌年以降となるのでは、資産活用世代には売買のタイミングに空白期間ができてしまい、とても使いやすいとはいえません。

写真=iStock.com/Yusuke Ide
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資産全体で考える

その対策としては、リスク性資産比率を考える時に新NISAの制度内だけで考えるのではなく、保有している資産全体の中で考えるようにすることです。

そのためにはまず、新NISAで保有する投資信託などは、できるだけバランスの取れた安定的な運用がなされるものを選びます。もし、すでに一般NISAで親しんできた投資信託などがあれば、それを新NISAでも使うことでよいかと思います。

新NISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)、それ以外の課税口座にも有価証券を保有しているのであれば、それらを合計して全資産に対する比率を「リスク性資産比率」と考え、資産全体の中でその比率を下げていくための手順を考えるのです。

たとえば、非課税口座より課税口座の資金を先に取り崩すとか、課税所得の平準化を考えれば公的年金とiDeCo資産の取り崩しが重ならないようにする、といったルール化を進めてもいいでしょう。