「欲と二人連れ」の関係から徐々に離れる

若い女性などが男性とこのような関係になると、周囲から男女関係を疑われる場合もあると思います。実際、そういう関係に持ち込もうとする男性もいるでしょう。

私は、相手の頼る気持ちや尊敬を欲望を満たすために悪用するのは大罪に値し、徳を損なうことおびただしいと思っています。

とくに尊敬は愛に近いので、悪用すればたちまち男女関係になりかねません。しかし、そうなっても誰も得をしないどころか、お互いの家庭が壊れる可能性もあるのです。

私たちの尊敬、愛情、性的な欲望は、微妙なバランスの中にあります。このバランスを破って欲望に走ると、ついには破滅に至ります。

欲にとらわれれば失敗し、欲を抑えれば成功するという教えは、なんにでも通用するのです。

その成功と失敗は紙一重の差ですから、私たちはできるだけ理想主義的に生きて、欲望の世界に尊敬や愛情を持ち込まないようにすることが必要です。

高田明和『孤独にならない老い方』(成美堂出版)

もちろん、理想だけでは生きられません。現実の社会が許さないのです。しかし、理想がなければ生きられないことも事実です。

デール・カーネギーが「関心を引こうとするよりも、純粋な関心を寄せること」の大切さを指摘した冒頭の言葉に、私も同感です。

現役時代は、いわゆる「欲と二人連れ」の人間関係が多くなりがちだったと思います。

「仕事のつき合い」とか「利害関係」といった意識にわずらわされなくなったこれからが、友達づき合いをゆっくり楽しめる貴重な時間になるのです。

年を取るといいことがある。男女間の友情が持てることだ。

恋人関係は若い頃の美のきわみでしょう。
しかし、男女の友情は、より洗練されているのです。
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